ヒアルロン酸豊胸を溶かしたい|溶解剤(ヒアルロニダーゼ)の効果と仕組み

ヒアルロン酸豊胸を溶かしたい|溶解剤(ヒアルロニダーゼ)の効果と仕組み

「あのとき入れたヒアルロン酸を、やっぱり溶かしたい」——そんな想いを抱えている方は少なくありません。仕上がりのバランスが気に入らない、しこりのような違和感がある、あるいは生活の変化とともに元のバストに戻したくなったなど、理由は人それぞれでしょう。

ヒアルロン酸豊胸には「溶かして元に戻せる」という大きな特徴があります。溶解に用いるのがヒアルロニダーゼという酵素製剤で、注入されたヒアルロン酸を分解し、体外への吸収を促します。

この記事では、溶解剤の効果や施術の流れ、痛み、費用、リスクまで、経験豊富な医師の視点からわかりやすくお伝えします。不安を感じている方が一歩踏み出すための手がかりになれば幸いです。

目次

ヒアルロン酸豊胸を溶かしたいと思ったら、まず知ってほしい基礎知識

ヒアルロン酸豊胸の溶解は医療行為であり、医師による正確な診断と施術が必要です。自己判断で対処しようとせず、まずは施術を受けたクリニックか美容外科へ相談してください。

ヒアルロン酸はなぜ「溶かせる」素材なのか

ヒアルロン酸は、もともと人間の皮膚や関節に存在するムコ多糖類(粘り気のある糖質の一種)です。体内にも自然に存在する成分だからこそ、専用の酵素で分解できるという性質を持っています。

豊胸に使われるヒアルロン酸製剤は、天然のヒアルロン酸に「架橋」と呼ばれる化学的な結合を加えて、体内で長期間形を保てるように加工されたものです。この架橋があることで、注入後すぐには吸収されず、数か月から1年ほどバストのボリュームを維持できます。

溶解剤ヒアルロニダーゼの正体は天然由来の酵素

ヒアルロニダーゼは、ヒアルロン酸の分子鎖を切断する酵素です。もともと人体にも微量に存在し、体内のヒアルロン酸代謝に関わっています。医療用のヒアルロニダーゼは、ウシ精巣由来のものとヒト遺伝子組換え型の2種類が主に用いられています。

項目ウシ精巣由来ヒト遺伝子組換え型
原料ウシの精巣遺伝子組換え技術
アレルギーリスクやや高め低め
純度一般的高純度

溶解できるケースと難しいケースの違い

注入から間もない時期であれば、ヒアルロン酸はゲル状のまま組織内に存在しているため、ヒアルロニダーゼの効果を得やすい傾向にあります。

一方で、注入から長期間が経過して周囲に被膜(カプセル)が形成されている場合は、酵素がヒアルロン酸に届きにくくなるため、複数回の施術を要する場合もあるでしょう。

また、ヒアルロン酸以外の充填剤(ポリアクリルアミドゲルやシリコンなど)で豊胸を行った場合は、ヒアルロニダーゼでは溶解できません。どの製剤が入っているか不明な方は、超音波検査やMRIで確認することが大切です。

ヒアルロニダーゼでヒアルロン酸豊胸を溶解する仕組みを丁寧に解説

ヒアルロニダーゼは、ヒアルロン酸の長い鎖状の分子を短く切断し、体が自然に吸収できる大きさまで分解します。この酵素反応は注入直後から始まり、多くの場合24〜48時間で分解が大きく進みます。

酵素がヒアルロン酸を分解する化学的な流れ

ヒアルロン酸は、グルクロン酸とN-アセチルグルコサミンという2つの糖が交互につながった高分子です。ヒアルロニダーゼは、この2つの糖の結合部分(β-1,4結合)をピンポイントで切断します。

切断されたヒアルロン酸の断片は分子量が小さくなり、周囲の組織液に溶け出します。その後、リンパ管や毛細血管を通じて体内に吸収され、最終的に代謝・排出されるという流れです。

架橋(クロスリンク)されたヒアルロン酸でも溶解できる

豊胸用のヒアルロン酸製剤は高度に架橋されているため、天然のヒアルロン酸より分解されにくい構造を持っています。しかし、ヒアルロニダーゼは架橋された部分を含め、ヒアルロン酸の分子鎖そのものを切断できるため、時間をかければ分解が可能です。

ただし、架橋の度合いが高い製剤ほど酵素が浸透しにくく、分解に必要な酵素量や施術回数が増える傾向にあります。高架橋のモノフェーズ型フィラーは、バイフェーズ型に比べて溶解に時間がかかるとされています。

溶解にかかる時間と効果のあらわれ方

ヒアルロニダーゼを注入すると、まず注入部位のヒアルロン酸が水分を吸って膨潤し、その後に分解が進行します。バイフェーズ型のヒアルロン酸であれば、多くの場合1〜2時間で大部分が溶解するとの報告があります。

一方、モノフェーズ型では分解に数時間から数日かかることもあり、追加注入が必要なケースも珍しくありません。効果の感じ方には個人差がありますが、施術後2〜3日の時点で明らかなボリューム減少を感じる方が多いようです。

ヒアルロン酸の種類溶解の速さ特徴
バイフェーズ型1〜2時間で大幅に減少酵素が浸透しやすい
モノフェーズ型数時間〜数日高架橋で分解に時間を要する
NASHA系(Macrolane等)個人差が大きい豊胸用として多く使われた

ヒアルロン酸豊胸の溶解施術はどんな流れで進むのか

溶解施術は、カウンセリングから始まり、注入、経過観察までを含めて通常1〜2時間程度で完了します。入院の必要はなく、多くのクリニックでは日帰りで受けることができます。

カウンセリングと事前検査で安全性を確認する

まず医師が、いつ・どのくらいのヒアルロン酸を注入したかを確認します。過去の施術記録がない場合は、超音波検査でヒアルロン酸の残存量や分布を調べることが一般的です。

加えて、ヒアルロニダーゼに対するアレルギーの有無を確認するため、皮内テスト(パッチテスト)を行うクリニックもあります。ウシ由来の製剤を使用する場合は、動物性タンパク質にアレルギーがある方は事前に申告してください。

注入から効果が出るまでの経過

消毒と局所麻酔のあと、ヒアルロン酸が残存している部位にヒアルロニダーゼを注入していきます。超音波ガイド下で注入位置を確認しながら行う方法もあり、この場合はより正確に酵素を届けることができます。

  • 施術時間:約30分〜1時間
  • 麻酔:局所麻酔(必要に応じて鎮静剤を併用)
  • ダウンタイム:軽度の腫れや内出血が2〜3日程度

溶解が一度で終わらない場合の対応

注入量が多い場合やヒアルロン酸の架橋度が高い場合には、一度の施術で完全に溶解しきれないこともあります。その場合、2〜4週間の間隔をあけて再度ヒアルロニダーゼを注入し、段階的に溶解を進めます。

焦って短期間に大量のヒアルロニダーゼを注入すると、周囲の自己組織に含まれるヒアルロン酸まで分解してしまう恐れがあるため、医師の判断に従い適切なペースで進めることが大切です。

溶解剤ヒアルロニダーゼの投与量と費用はどれくらいか

ヒアルロニダーゼの投与量は、溶解したいヒアルロン酸の量や製剤の種類によって大きく異なります。費用もクリニックごとに幅がありますが、1回あたり数万円〜十数万円が目安です。

投与量はヒアルロン酸の量と種類に合わせて調整する

一般的な目安として、バイフェーズ型のヒアルロン酸フィラー0.1mLあたり5〜10単位、モノフェーズ型では10〜20単位以上のヒアルロニダーゼが必要とされています。豊胸で使用されるヒアルロン酸は1回あたり数十〜100mL以上と大量なので、顔面の修正とは比べものにならない量の酵素が求められます。

そのため、複数回に分けて溶解するのが一般的で、1回の施術につき数百〜1500単位程度を使用する場合もあります。投与量が多くなるほどアレルギー反応のリスクも高まるため、医師は慎重に量を調整します。

費用に影響する要素と事前に確認すべきポイント

溶解施術の費用は、使用するヒアルロニダーゼの種類と量、超音波検査の有無、施術回数によって変動します。初回の施術で溶解が完了すれば費用は抑えられますが、複数回の施術が必要になると追加費用が発生します。

カウンセリング時に「総額でどのくらいかかりそうか」「追加施術の費用はいくらか」を具体的に確認しておくと安心です。見積もりを書面でもらっておくのもよいでしょう。

他の豊胸修正法との比較

ヒアルロン酸の溶解以外にも、吸引による除去や外科的な切開による摘出といった方法があります。吸引は太い針でゲル状のヒアルロン酸を物理的に抜き取るもので、溶解剤と併用されることもあります。

外科的な切開は、被膜ごと摘出できるため確実性が高い反面、傷あとが残る可能性があり、ダウンタイムも長くなります。患者さんの状態や希望に応じて、医師と相談しながら方法を選択してください。

修正方法特徴ダウンタイム
ヒアルロニダーゼ注入注射のみ、傷あとなし2〜3日(腫れ)
吸引除去太い針で吸い取る3〜7日
外科的切開摘出被膜ごと除去可能1〜2週間

ヒアルロン酸豊胸の溶解で注意すべき副作用とリスク

ヒアルロニダーゼによる溶解は比較的安全な処置ですが、副作用やリスクがまったくないわけではありません。事前にリスクを把握しておくことで、施術後に慌てずに対処できます。

腫れ・内出血・痛みなどの一般的な副作用

注射部位に腫れや赤み、軽い痛みが出ることは珍しくありません。多くの場合は数日で自然に治まりますが、痛みが強い場合は処方された鎮痛剤を服用してください。

内出血が生じた場合は、1〜2週間ほどで吸収されて消えていきます。施術当日は入浴や激しい運動を避け、患部を冷やすことで腫れを抑えられます。

アレルギー反応には十分な警戒を

ウシ精巣由来のヒアルロニダーゼを使用する場合、まれにアレルギー反応(蕁麻疹、血管性浮腫など)が起こることがあります。重篤な場合にはアナフィラキシーに至る可能性もゼロではないため、施術は医療設備の整った環境で行うことが重要です。

副作用頻度対処法
腫れ・赤み高い(一時的)冷却・安静
内出血中程度1〜2週間で自然消退
アレルギー反応まれ抗ヒスタミン薬・アドレナリン投与
自己ヒアルロン酸の分解用量依存適正用量の遵守

自分の体内のヒアルロン酸まで分解されてしまう心配

ヒアルロニダーゼは注入されたフィラーだけでなく、周囲の組織に存在する天然のヒアルロン酸にも作用します。しかし、天然のヒアルロン酸は体内で常に新しく作られているため、一時的に減少しても通常は数日から数週間で回復するとされています。

過剰な量のヒアルロニダーゼを一度に注入しなければ、長期的な影響が残る可能性は低いと考えられています。だからこそ、経験豊富な医師のもとで適正量を守った施術を受けることが大切なのです。

溶解後のバストはどう変わる?再豊胸の選択肢も含めて

溶解後のバストは、注入前のサイズに近い状態まで戻ることが多いですが、注入期間中の皮膚の伸展や組織の変化により、完全に元どおりにはならない場合もあります。

溶解後にバストの形やサイズに起こり得る変化

ヒアルロン酸が溶解されると、その体積分のボリュームが失われます。注入量が多かった場合には、皮膚がやや余ってたるみを感じることがあるかもしれません。一方で、注入量が少なかった場合は、ほとんど目立たない変化で済むケースもあります。

また、ヒアルロン酸の周囲に形成された被膜(カプセル)が残存していると、その部分に硬さやしこりを感じることがあります。こうした組織の変化は時間の経過とともに軟化していくことが多いですが、気になる場合は医師に相談してください。

溶解してから再び豊胸手術を受けるまでの期間

ヒアルロニダーゼによる溶解後、再度ヒアルロン酸を注入する場合は、酵素の作用が完全に消失するまで待つ必要があります。ヒアルロニダーゼの半減期は約2分と非常に短いのですが、作用の持続時間は24〜48時間に及ぶとの報告があります。

多くの医師は、再注入まで最低2〜4週間の間隔をあけることを推奨しています。シリコンバッグによる豊胸への切り替えを検討する場合は、組織が安定する1〜3か月後が望ましいとされています。

溶解後のケアでバストの回復をサポートする方法

施術後は締め付けの少ないブラジャーを着用し、バストに過度な負担をかけないようにしましょう。施術後1週間程度は激しい運動を控え、患部への圧迫を避けることで腫れの長引きを防げます。

皮膚のたるみが気になる場合は、肌の保湿ケアを丁寧に行い、コラーゲン生成を促す食事やサプリメントを取り入れることも一つの方法です。焦らず時間をかけて、バストが自然な状態に落ち着くのを待ちましょう。

再豊胸の選択肢推奨待機期間備考
ヒアルロン酸再注入2〜4週間以上酵素作用の消失を確認
脂肪注入1〜3か月後組織の安定を待つ
シリコンバッグ1〜3か月後フィラー残存がないか確認

信頼できるクリニックを選ぶための具体的なチェックポイント

ヒアルロン酸豊胸の溶解は、経験と知識のある医師のもとで受けてこそ安全に行えます。クリニック選びを間違えると、不十分な溶解や思わぬ合併症に悩まされる恐れがあります。

溶解の実績が豊富な医師を見つける方法

ホームページやSNSで溶解施術の症例数を公開しているクリニックは、それだけ経験を積んでいるといえます。また、日本美容外科学会や日本形成外科学会の専門医資格を持つ医師であれば、基礎的な知識と技術が担保されているでしょう。

  • 溶解施術の症例数や実績を確認する
  • 学会認定の専門医資格の有無を調べる
  • カウンセリングでの説明が丁寧かどうかを判断する
  • アフターケア体制が整っているかを確認する

カウンセリングで確認すべき質問リスト

初回のカウンセリングでは、遠慮せず質問を投げかけてください。「溶解に何回くらい必要ですか?」「使用するヒアルロニダーゼの種類は?」「副作用が出た場合はどう対応してもらえますか?」といった具体的な質問に明確に答えてくれる医師は信頼に値します。

逆に、質問をはぐらかしたり、「とにかく大丈夫です」と根拠なく安心させようとする医師には注意が必要です。患者の不安に向き合い、メリットだけでなくリスクも正直に伝えてくれる姿勢が大切でしょう。

施術前に取り交わすべき同意書のポイント

施術前には必ず同意書(インフォームドコンセント)が交わされます。同意書には、施術内容、使用する薬剤名と量、起こり得るリスク、費用の内訳が記載されていることを確認してください。

不明な点があれば署名前にかならず質問し、納得したうえで同意することが大切です。同意書のコピーは手元に保管しておきましょう。

よくある質問

ヒアルロニダーゼによるヒアルロン酸豊胸の溶解に痛みはありますか?

施術前に局所麻酔を行うため、注入そのものの痛みはかなり軽減されます。ただし、注射針を刺すときにチクッとした痛みを感じることはあるでしょう。

施術後に鈍い痛みや違和感が出ることもありますが、通常は1〜3日程度で落ち着きます。痛みに敏感な方は、事前に医師へ相談すれば鎮痛剤や鎮静剤の使用を検討してもらえます。

ヒアルロン酸豊胸の溶解施術は1回で完了しますか?

注入されたヒアルロン酸の量や製剤の種類、注入からの経過期間によって異なります。少量であれば1回で溶解が完了するケースもありますが、豊胸のように大量に注入された場合は2〜3回以上の施術が必要になることも珍しくありません。

複数回に分けて行うのは、一度に大量のヒアルロニダーゼを注入することのリスクを避けるためです。施術間隔は2〜4週間が一般的で、その間に体がヒアルロン酸の分解物を吸収していきます。

ヒアルロニダーゼを注入すると自分自身のヒアルロン酸にも影響がありますか?

ヒアルロニダーゼはフィラーとして注入されたヒアルロン酸だけでなく、周囲の組織に存在する天然のヒアルロン酸にも一定の影響を与えます。しかし、体内では常に新しいヒアルロン酸が産生されているため、一時的に減少しても通常は数日から数週間で自然に回復します。

適正な量を守った施術であれば、長期的な悪影響が残る可能性は低いと考えられています。過剰投与を避けるためにも、経験のある医師による施術を受けてください。

ヒアルロン酸豊胸を溶解した後、再び豊胸手術を受けることはできますか?

溶解後に再び豊胸手術を受けることは可能です。ヒアルロン酸の再注入であれば、ヒアルロニダーゼの作用が消失する2〜4週間後以降に行えます。シリコンバッグへの切り替えを希望される場合は、組織が安定する1〜3か月後が推奨されています。

再豊胸の際は、前回の施術で生じた合併症やフィラーの残存がないことを確認したうえで行います。超音波検査などで組織の状態を確認してから計画を立てると、より安全に進められるでしょう。

ヒアルロン酸以外の充填剤で豊胸した場合もヒアルロニダーゼで溶解できますか?

ヒアルロニダーゼで溶解できるのは、ヒアルロン酸を主成分とする製剤のみです。ポリアクリルアミドゲル(PAAG)、シリコンオイル、ポリ乳酸などの充填剤にはヒアルロニダーゼは作用しません。

これらの物質を除去するには、吸引や外科的な切開手術が必要になります。まずは医療機関でどの充填剤が注入されているかを検査で確認し、適した除去法を医師と相談することが大切です。

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この記事を書いた人

Dr.本田マイケル 武史のアバター Dr.本田マイケル 武史 MYCLI 統括院長 / 医療法人史真会 理事長

【プロフィール】 1984年アメリカ・メリーランド州生まれ、島根県育ち。 大阪医科大学医学部卒業後、がん研有明病院形成外科にて、日本一の手術件数を誇る乳房再建など数多くの高難度手術に従事。その後、聖路加国際病院形成外科を経て、より自然で美しい仕上がりを追求するため美容外科領域へ。 大手クリニックにて脂肪吸引・注入技術の指導的役割を担った後、「一人ひとりのゲストにもっと寄り添った施術」を理念に掲げ、2022年にMYCLIを開院。 形成外科専門医としての解剖学的知識と繊細な技術をベースに、特に「自然な仕上がり」にこだわった脂肪豊胸やボディデザインを得意とする。現在は聖路加国際病院形成外科の非常勤も兼務し、臨床・学術の両面で活動を続けている。

【所属・資格】 日本形成外科学会 / 日本乳房オンコプラスティックサージェリー学会 Vaser Lipo 脂肪吸引認定医 / MIA認定医

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