デコルテの削げと骨浮きを解消する豊胸手術|胸元をふっくらさせる注入とバッグの使い分け

デコルテの削げと骨浮きを解消する豊胸手術|胸元をふっくらさせる注入とバッグの使い分け

鏡を見たとき、胸の大きさそのものよりも、鎖骨の下から胸の上部にかけての「削げ」や浮き出た肋骨が気になるという方は少なくありません。

ブラジャーをつけてもカップの上部に隙間ができてしまったり、胸元の開いた服を着ることをためらったりするのは、ボリューム不足だけが原因ではありません。

デコルテラインの質感が大きく関係しているのです。現代の美容医療では、この「削げ」を埋めて女性らしいふっくらとした胸元を取り戻す方法が確立されています。

ご自身の体型やライフスタイルに合わせ、脂肪注入で自然な柔らかさを出すのか、シリコンバッグで確実な高さを出すのかを選択できます。

それぞれの特性を正しく理解し、理想のラインを手に入れるための道筋をご紹介します。

目次

デコルテが削げて骨が浮いて見える原因とメカニズム

デコルテ部分が削げ、骨が浮いて見えてしまう主な要因は、加齢や急激な体重減少に伴う皮下脂肪の減少と乳腺の萎縮にあります。

この現象を解決するには、単に皮膚を引っ張るのではなく、失われた組織のボリュームを適切な層に補填することが大切です。

皮下脂肪の減少と乳腺の萎縮による影響

胸のふくらみは主に乳腺組織とそれを包む脂肪組織によって構成されています。特にデコルテと呼ばれる胸の上部は、もともと乳腺の厚みが薄い部位です。

そのため、皮下脂肪の量によって見た目のふっくら感が左右されやすい傾向にあります。加齢に伴い女性ホルモンの分泌量が変化すると、乳腺自体が萎縮し小さくなります。

同時に、代謝の変化や生活習慣により上半身の皮下脂肪が減少すると、クッションの役割を果たしていた組織がなくなり、肋骨の形状が皮膚の表面に現れます。

デコルテの削げを引き起こす主な要因と特徴

要因特徴骨浮きの度合い
加齢による変化皮膚のたるみを伴い、全体的に位置が下がる中〜高
急激な体重減少皮膚が余り、しぼんだような印象になる
授乳後の変化乳腺が急激に萎縮し、上部のボリュームが失われる

皮膚の弾力低下とクーパー靭帯のゆるみ

組織のボリュームダウンに加え、皮膚そのものの弾力が失われることも「削げ」を強調させる要因です。バストを支えているクーパー靭帯が伸びたり緩んだりします。

するとバスト全体の位置が下がり、上部のボリュームが下へと流れてしまいます。中身が減った上に位置が下がることで、デコルテ部分は二重の要因で平坦化します。

この状態に対して、ただ単に全体を大きくする手術を行っても、上部のボリューム不足が解消されなければ、不自然な段差が生まれるリスクがあります。

脂肪注入によるアプローチとメリット・デメリット

ご自身の余分な脂肪を活用する脂肪注入は、デコルテの削げを解消する上で最も自然な触感と見た目を実現できる方法です。

特に皮膚が薄い方にとって、異物を入れずにボリュームを出せる点は大きな安心材料となります。

自身の組織を使用する安全性と定着率

脂肪注入豊胸は、太ももや腹部などから吸引した脂肪を加工し、バストに注入する方法です。最大の利点は、自分自身の組織であるため拒絶反応のリスクがないことです。

デコルテ部分は皮膚が薄く、直下に骨があるため、人工物を入れるとエッジ(境界線)が浮き出やすい場所です。

脂肪であれば周囲の組織と自然に馴染み、境界線がわからない滑らかな傾斜を作ることができます。一度定着した脂肪は半永久的な効果が期待できます。

脂肪注入法の主な特徴比較

注入法定着率の目安不純物の除去
通常脂肪注入約40〜50%フィルターのみ
コンデンスリッチ約80%前後遠心分離で徹底除去
ピュアグラフト約60〜70%特殊フィルター使用

コンデンスリッチ等の加工技術による違い

採取した脂肪をそのまま注入するのではなく、不純物を取り除き、濃縮する技術が進歩しています。例えばコンデンスリッチファット(CRF)などが代表的です。

これは遠心分離にかけて死活細胞や老化細胞、オイル分を除去し、健全な脂肪細胞と幹細胞のみを抽出して使用します。

その結果、従来の脂肪注入で見られた石灰化(しこり)のリスクを低減させ、定着率を高めることが可能になりました。

痩せ型の方における脂肪確保の課題

デコルテの削げを気にされる方は、もともと痩せ型であることが多く、注入に必要な十分な脂肪を確保できない場合があります。

バスト全体を大きくするにはある程度の脂肪量が必要ですが、デコルテの修正のみに焦点を当てれば、少量の脂肪でも見違えるような改善が可能です。

しかし、あまりにも体脂肪率が低い場合は、脂肪吸引自体が難しく、この方法が適応とならないケースもあります。その場合はバッグやハイブリッド豊胸を検討します。

シリコンバッグによるボリューム形成の注意点

シリコンバッグは確実なサイズアップと理想的な高さを長期間維持できる方法です。デコルテの皮膚が薄い場合は、バッグの縁が目立たないよう慎重な術式選択が重要です。

確実なサイズアップと形状維持

シリコンバッグ豊胸の最大の強みは、注入法のように吸収されることがなく、希望したサイズと形が確実に手に入ることです。

デコルテにしっかりとした高さを出し、横から見たときにも美しいカーブを作りたい場合、バッグの投影度(プロジェクション)を利用します。

そうすることで、メリハリのあるボディラインを形成できます。痩せ型で脂肪が全くない方でも、大幅なバストアップが可能です。

デコルテの見た目に影響するバッグ挿入層の違い

挿入層痩せ型への適性デコルテの自然さ
乳腺下法低い縁が出やすい
大胸筋下法高い筋肉でカバーされる
筋膜下法ややカバーされる

リップリングとエッジの浮き出しリスク

デコルテの削げが顕著な方にとって最大のリスクとなるのが「リップリング」です。これは、バッグの表面が波打ち、その波打ちが皮膚表面に見えてしまう現象です。

また、バッグの端(エッジ)が段差として浮き出てしまい、お椀を伏せたような不自然な見た目になることもあります。

原因は、バッグを覆う自身の組織(乳腺や脂肪)が薄すぎることにあります。これを防ぐためには、バッグの種類選びや挿入する層の工夫が必要です。

大胸筋下法と乳腺下法の使い分け

バッグを挿入する層には主に「乳腺下」と「大胸筋下」があります。デコルテの削げが目立つ痩せ型の方の場合、乳腺の下では輪郭がそのまま出るリスクがあります。

そのため、より深い層である大胸筋の下にバッグを挿入する方法が選択されることが一般的です。

筋肉がクッションとなり、バッグの上部を覆うことで、デコルテの段差をなだらかに見せることができます。

ハイブリッド豊胸が骨浮き解消に適している理由

シリコンバッグのボリュームと脂肪注入の自然な柔らかさの両方を享受できるハイブリッド豊胸は、デコルテの削げと骨浮きを解消するための理想的な解決策です。

バッグで土台を作り脂肪で細部を整える

ハイブリッド豊胸とは、シリコンバッグ挿入と脂肪注入を同時に行う手術です。まずシリコンバッグでバスト全体の土台となる大きさや高さを確保します。

その上で、バッグの縁が浮き出やすいデコルテ部分や、谷間の内側部分を中心に、ご自身の脂肪を注入します。

この工程を経ることで、バッグ特有の硬さや人工的な輪郭を脂肪がカモフラージュし、触れたときの感触も本物のバストに近づけることができます。

ハイブリッド豊胸のメリット

  • バッグによる確実なサイズアップが可能
  • 脂肪がクッションとなりバッグの感触を消せる
  • デコルテの骨浮きを脂肪でピンポイントに修正できる
  • バッグ単体よりもリップリングのリスクが低い

痩せ型でも自然な谷間を作るアプローチ

脂肪が少ない痩せ型の方にとって、脂肪注入単独では大幅なサイズアップが難しく、バッグ単独では不自然になりやすいというジレンマがあります。

ハイブリッド豊胸は、採取できる脂肪が少なくても、それを「カバー用」として局所的に有効活用することでこの問題を解決します。

特にデコルテの骨っぽさを消すために、皮下へ丁寧に脂肪を敷き詰めることで、ふっくらとした女性らしいラインが生まれます。

ヒアルロン酸注入という選択肢と限界

手術によるダウンタイムを避けたい方や、一時的にデコルテのハリを出したい方にはヒアルロン酸注入という手段がありますが、持続期間や触感において制限があります。

手軽さと即効性の魅力

ヒアルロン酸注入は、メスを使わずに注射のみで行うため、傷跡がほとんど残らず、施術直後からボリュームを実感できる即効性が魅力です。

デコルテ部分に注入することで、窪みを持ち上げ、光の反射を変えて骨浮きを目立たなくさせることができます。

結婚式やイベントなど、特定の日に合わせて胸元を綺麗に見せたいというニーズには適しています。

ヒアルロン酸注入の特徴まとめ

項目内容備考
施術時間15分〜30分程度非常に短い
ダウンタイムほぼ無し内出血が出る場合有
持続期間1年〜2年程度個人差が大きい

持続期間と吸収される特性

ヒアルロン酸は体内に元々存在する成分であり、徐々に分解・吸収されていきます。豊胸用のヒアルロン酸は粒子が大きく持続性が高められています。

それでも数ヶ月から2年程度でボリュームは減少します。常にふっくらとしたデコルテを維持するには、定期的な追加注入が必要です。

また、大量に注入すると「しこり」のリスクが高まるため、あくまで補助的なボリュームアップや、部分的な修正に適した方法と考えることが大切です。

ダウンタイムと術後の過ごし方

デコルテへのアプローチを含む豊胸手術では、選択した術式によって回復期間や生活の制限が異なります。美しい仕上がりのためには、術後の適切なケアが重要です。

脂肪吸引・注入部位のケア

脂肪注入を行う場合、バストだけでなく脂肪を採取した部位(太ももなど)のダウンタイムも考慮する必要があります。

採取部位には筋肉痛のような痛みや内出血が生じ、1週間程度は圧迫固定が必要です。バスト側に関しては、注入した脂肪を定着させるため圧迫を避けます。

術後1ヶ月程度は強く圧迫したり、揺らしたりすることを避けてください。ワイヤー入りのブラジャーは血流を阻害し定着率を下げる可能性があります。

術式別の一般的なダウンタイム症状

  • 脂肪注入:採取部位の筋肉痛様疼痛、内出血、むくみ
  • シリコンバッグ:胸部の圧迫感、腕の動かしにくさ、鈍痛
  • ヒアルロン酸:針穴周辺の軽度な内出血、腫れ(数日で引く)

シリコンバッグ挿入後の制限

シリコンバッグの場合、術後数日は腕を上げたり重いものを持ったりする動作に制限がかかります。特に大胸筋下に挿入した場合は、筋肉の痛みが強く出ることがあります。

術後のマッサージについては、使用するバッグの種類(スムーズタイプかテクスチャードタイプか)によって必要性が異なります。

自己判断せず、執刀医の指示を厳守することが重要です。デコルテ部分の皮膚が引っ張られる感覚は、時間の経過とともに馴染んでいきます。

失敗しないためのクリニック選びとカウンセリング

デコルテの修正は高度な技術と美的センスが要求される分野です。後悔しない結果を得るためには、自身の骨格や皮膚の状態を正しく見極められる医師に出会う必要があります。

症例写真でのデコルテラインの確認

クリニックを選ぶ際は、単にカップ数が上がったかどうかだけでなく、デコルテのラインが自然かどうかを症例写真で確認することが大切です。

「鎖骨からトップにかけてのラインが直線的か、わずかにカーブを描いているか」「バッグの縁が浮き出ていないか」といった細部に注目してください。

特にご自身と似た体型(痩せ型など)の症例を多く手掛けている医師であれば、その体型特有の難しさや対処法を熟知している可能性が高いといえます。

確認すべきチェックリスト

確認項目ポイント重要度
エコー検査現在の組織の厚みを計測
サイズ提案体型に合った無理のない範囲か
アフターケア術後の検診や保証制度

リスク説明の透明性

カウンセリングでは、メリットだけでなくリスクについても明確に説明してくれる医師を選びましょう。「絶対に自然になる」といった極端な言葉は注意が必要です。

「あなたの皮膚の薄さだとバッグの縁が触れる可能性がある」といった現実的な見通しを提示してくれるかどうかが信頼の証です。

エコー検査などを用いて、現在の乳腺や脂肪の厚みを数値化して説明してくれるクリニックであれば、より納得度の高い選択ができます。

よくある質問

デコルテに脂肪注入をして、将来垂れてしまうことはありますか?

注入した脂肪はご自身の組織として定着するため、加齢に伴う自然な変化と同じように変化します。脂肪そのものの重みで急激に垂れるということは考えにくいです。

加齢により皮膚がたるめばバスト全体の位置は下がります。むしろ、デコルテにボリュームがあることで、視覚的にバスト位置が高く見え、若々しい印象を保てます。

授乳後に削げてしまった胸でも元に戻りますか?

はい、可能です。授乳後は乳腺が萎縮し、皮膚が伸びている状態が多く見られますが、これは脂肪注入やハイブリッド豊胸の良い適応となります。

特に伸びた皮膚には注入スペースとしての余裕があるため、脂肪の定着が良い傾向にあります。失われたボリュームを補うことで、授乳前の状態に近づけられます。

痩せすぎていて脂肪が取れないと言われましたが、諦めるしかありませんか?

脂肪吸引が難しいほど痩せている場合でも、シリコンバッグを使用することで改善は可能です。その際、バッグの縁が目立たないよう、大胸筋下に挿入します。

あるいは、より充填率が高く波打ちにくいタイプのバッグを選択することで、リスクを最小限に抑えることができます。

デコルテへの注入は痛みが強いですか?

手術中は麻酔が効いているため痛みを感じることはありません。術後は、筋肉痛のような鈍痛や、皮膚が突っ張るような感覚が生じることがあります。

これらは処方される鎮痛剤でコントロール可能な範囲です。デコルテは皮膚が薄いため、内出血が出ると目立ちやすい場所ですが、通常は2週間程度で消失します。

一度の手術で理想のデコルテになりますか?

元々の削げ具合や希望するボリュームによります。シリコンバッグであれば一度で大きな変化を出せますが、脂肪注入単独の場合、一度に注入できる量に限界があります。

定着率も個人差があるため、理想の高さにするために2回以上の施術を要することもあります。一度で完成させたい場合は、ハイブリッド豊胸やシリコンバッグが適しています。

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この記事を書いた人

Dr.本田マイケル 武史のアバター Dr.本田マイケル 武史 MYCLI 統括院長 / 医療法人史真会 理事長

【プロフィール】 1984年アメリカ・メリーランド州生まれ、島根県育ち。 大阪医科大学医学部卒業後、がん研有明病院形成外科にて、日本一の手術件数を誇る乳房再建など数多くの高難度手術に従事。その後、聖路加国際病院形成外科を経て、より自然で美しい仕上がりを追求するため美容外科領域へ。 大手クリニックにて脂肪吸引・注入技術の指導的役割を担った後、「一人ひとりのゲストにもっと寄り添った施術」を理念に掲げ、2022年にMYCLIを開院。 形成外科専門医としての解剖学的知識と繊細な技術をベースに、特に「自然な仕上がり」にこだわった脂肪豊胸やボディデザインを得意とする。現在は聖路加国際病院形成外科の非常勤も兼務し、臨床・学術の両面で活動を続けている。

【所属・資格】 日本形成外科学会 / 日本乳房オンコプラスティックサージェリー学会 Vaser Lipo 脂肪吸引認定医 / MIA認定医

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