20代女性の薄毛「若年性FAGA」の原因|急増する若者の髪の悩み

20代女性の薄毛「若年性FAGA」の原因|急増する若者の髪の悩み

鏡を見たときに「以前よりも分け目が目立つようになった」「髪を結んだ時の束が細くなった」と感じて不安を覚える20代の女性が増えています。

本来であれば髪の成長が活発であるはずの20代で薄毛に悩むことは、心理的にも大きな負担となります。しかし、この悩みは決してあなただけのものではありません。

近年、ライフスタイルの変化や社会的なストレスの増加に伴い、若くして薄毛の症状である「若年性FAGA(女性男性型脱毛症)」を発症するケースが急増しています。

髪の悩みは早期に原因を特定し、適切な対策を講じることで改善の余地が大いにあります。

20代女性特有の薄毛の原因を多角的に掘り下げ、症状が起きる背景を詳しく解説します。正しい知識を身につけ、自信あふれる髪を取り戻すための第一歩を踏み出しましょう。

目次

若年性FAGAとは何か 20代女性に見られる特徴

20代という若さで髪のボリュームが減ってしまう現象には通常の加齢による変化とは異なる特有の背景が存在します。

若年性FAGAが示す具体的な症状と、他の脱毛症との違いを明らかにしていきます。

髪全体のボリュームダウンと分け目の広がり

若年性FAGAの最大の特徴は、ある特定の部分だけがツルツルに抜けるのではなく、頭部全体の髪が均一に細く弱くなっていく点にあります。これを「びまん性脱毛症」とも呼びます。

初期段階では気づきにくいものの、徐々に髪のハリやコシが失われ、スタイリングが決まらなくなったり、雨の日にペタンとなりやすくなったりします。

特に顕著に現れるのが、分け目の広がりです。以前は気にならなかった頭皮の白い部分が、照明の下や写真に写った際にはっきりと見えるようになります。

これは毛の本数が減っているというよりも、一本一本の毛髪が細く短小化(ミニチュア化)してしまうことで、頭皮を覆う密度が低下しているために起こります。

20代の女性はヘアアレンジを楽しむ機会も多いですが、その際に地肌の透け感が気になり始めるのが典型的なサインです。

FAGAとその他の脱毛症の違い

比較項目若年性FAGA(びまん性脱毛症)円形脱毛症
抜け方全体的に徐々に薄くなる突然、円形や楕円形に境界明瞭に抜ける
進行速度緩やかに進行する急激に発症することが多い
自覚症状髪の細り、ボリューム減少突然の脱毛、爪の変形などを伴う場合も
主な原因ホルモンバランス、血流不全自己免疫疾患、アトピー素因

正常な抜け毛と異常な抜け毛の見分け方

髪にはヘアサイクルがあり、健康な状態でも1日に50本から100本程度の髪は自然に抜け落ちます。シャンプーの時やブラッシングの時に髪が抜けること自体は生理現象であり、過度に恐れる必要はありません。

しかし、若年性FAGAが進行している場合、この抜け毛の質に変化が現れます。注意深く観察すべきは、抜け落ちた髪の状態です。

十分に成長しきって寿命を迎えた髪は太くしっかりしていますが、成長途中で抜けてしまった髪は細く、短く、毛根部分の膨らみが小さい傾向があります。

枕元に落ちている毛や排水溝に溜まる毛の中に、このような「うぶ毛」のような未熟な毛が多く混じっている場合は、ヘアサイクルに異常が生じている可能性が高いと言えます。

進行パターンと早期発見の重要性

若年性FAGAは進行性の症状であり、放置していても自然治癒することは稀です。むしろ、対策を先送りにすればするほど毛根の機能が低下し、元の状態に戻すまでに長い時間を要することになります。

初期には「なんとなく髪が扱いづらい」程度の違和感から始まり、次第に頭頂部の透け感が強くなり、最終的には地肌が露わになる範囲が広がっていきます。

特に20代での発症は、進行スピードが速いケースも少なくありません。細胞の活動が活発な分、マイナスの要因が働くとその影響もダイレクトに出やすいのです。

しかし逆に言えば、早期に適切なケアを行えば細胞の回復力も高いため、改善効果が出やすいという側面もあります。

「まだ若いから大丈夫」という過信は捨て、小さな変化を見逃さない繊細な観察眼を持つことが、豊かな髪を守るためには必要です。

ホルモンバランスの乱れが引き起こす薄毛の要因

女性の体は繊細なホルモンバランスの上に成り立っており、髪の健康もその影響を色濃く受けています。

本来であれば安定しているはずの20代でバランスが崩れる原因と、女性ホルモンの役割について詳しく見ていきます。

女性ホルモン「エストロゲン」の減少と髪の成長

美しい髪を育てるために最も重要な役割を果たしているのが、卵胞ホルモンと呼ばれる「エストロゲン」です。エストロゲンには髪の成長期を持続させ、髪にハリやツヤを与える働きがあります。

通常、このホルモンは20代後半から30代前半にかけて分泌量のピークを迎えますが、何らかの原因でこの分泌量が低下すると、髪の成長を維持する力が弱まります。

エストロゲンが減少すると、相対的に体内の男性ホルモンの影響を受けやすくなります。

微量ながら女性の体内にも存在する男性ホルモンが優位になると、毛根にある受容体と結びつき、髪の成長を抑制するシグナルを出してしまうことがあります。

これが、若くして髪が薄くなる大きなメカニズムの一つです。エストロゲンの守りが弱くなることで、髪が無防備な状態になってしまうのです。

ホルモンの種類と髪への影響

ホルモン名主な役割髪への影響
エストロゲン
(卵胞ホルモン)
髪の成長期を延ばす
コラーゲンの生成促進
減少すると髪の寿命が短くなり、細く抜けやすくなる
プロゲステロン
(黄体ホルモン)
妊娠の維持
体温の上昇
直接的な育毛作用は弱いが、バランス維持に重要
アンドロゲン
(男性ホルモン)
骨格や筋肉の形成
皮脂分泌の促進
過剰な感受性を持つ場合、薄毛のスイッチを入れる

就職や環境変化によるストレスとホルモンの関係

20代は就職、昇進、結婚、転居など人生の大きな転機が重なる時期です。新しい環境への適応や人間関係の構築など、知らず知らずのうちに心身に強いプレッシャーがかかっています。

脳の視床下部はホルモン分泌の指令塔ですが、同時にストレスを感じ取る中枢でもあります。過度なストレスがかかると視床下部の機能が混乱し、卵巣への「ホルモンを出して」という指令がうまく伝わらなくなります。

その結果、月経不順や無月経といった症状とともに、抜け毛の増加が起こります。これは体が生命維持に関わる機能を優先し、髪の毛という直接的に生命に関わらない部分へのエネルギー供給を後回しにするためとも考えられます。

社会進出が進む現代の20代女性にとって、キャリア形成と髪の健康の両立は切実な課題となっています。

ピルの服用中止や出産後の一時的な脱毛との違い

ホルモンバランスに関連する脱毛として、低用量ピルの服用中止後や出産後の脱毛(分娩後脱毛症)があります。

これらは体内のホルモン量が急激に変化することで、成長期にあった髪が一斉に休止期へ移行するために起こります。多くの場合これらは一時的なものであり、ホルモンバランスが安定すれば自然に回復します。

しかし、若年性FAGAはこれらの一時的な変動とは異なり、慢性的なホルモンバランスの乱れが背景にあります。

一時的な脱毛の後に髪が戻りきらない、あるいは特別なきっかけがないのに徐々に薄くなるといった場合は、生活習慣や体質に基づいたFAGAの可能性を疑う必要があります。

過度なストレスと自律神経が髪に与える影響

現代社会においてストレスと無縁で生活することは困難ですが、その蓄積が頭皮環境を悪化させる重大な要因となっています。

精神的な負担がどのようにして肉体的な変化、ひいては薄毛へとつながっていくのか解説します。

交感神経の優位状態が続くことでの血管収縮

人はストレスを感じると、戦うか逃げるかの準備をするために自律神経のうちの「交感神経」が活発になります。この時、体は主要な臓器や筋肉に血液を集めようとするため、末梢の血管を収縮させます。

頭皮の血管は非常に細い毛細血管であり、この血管収縮の影響を真っ先に受けてしまいます。血液は髪の材料となる栄養や酸素を運ぶ唯一のルートです。

交感神経が優位な状態、つまり緊張状態が慢性的に続くと、頭皮は常に血行不良の状態に陥ります。栄養が届かなくなった毛根は飢餓状態となり、太く強い髪を作ることができなくなります。

リラックスする時間を持てず、常に何かに追われているような感覚を持つ20代女性の頭皮は、硬く冷たくなっていることが多いのです。

デスクワークや眼精疲労による頭皮の凝り

現代の20代女性の多くは、仕事でもプライベートでもパソコンやスマートフォンを長時間使用しています。

画面を凝視し続けることで目の周りの筋肉が緊張し、それが側頭部や後頭部の筋肉の緊張へと連鎖していきます。

これが「頭皮の凝り」です。頭皮が凝り固まると、物理的に血管が圧迫され、血流がさらに阻害されます。

また、猫背や巻き肩といった姿勢の悪さも、首や肩の凝りを招き、心臓から頭部へ向かう血流を滞らせる原因となります。頭皮は顔の皮膚と一枚でつながっており、筋肉が少ないため自力で動くことができません。

ストレス蓄積のサイン

  • 朝起きても疲れが取れていない感覚がある
  • 些細なことでイライラしたり、落ち込んだりする
  • 頭皮が指でつまめないほど硬い、またはブヨブヨしている
  • 手足の先が常に冷たく、温まりにくい
  • 無意識のうちに歯を食いしばっていることがある

外部からのマッサージや意識的なリラックスを行わない限り、凝りは蓄積する一方です。眼精疲労と頭皮の凝りはセットで進行し、髪の成長を妨げる大きな壁となります。

入浴習慣の欠如と身体の冷えが髪に与えるダメージ

忙しさのあまり、入浴をシャワーだけで済ませてしまう女性も少なくありません。しかし、湯船に浸かって体を芯から温めることは副交感神経を優位にし、血管を拡張させるために非常に効果的です。

シャワーだけの生活が続くと深部体温が上がりにくく、慢性的な「冷え」を招きます。「冷えは万病の元」と言われますが、髪にとっても大敵です。

体温が下がると代謝機能が低下し、細胞分裂のスピードが落ちます。毛母細胞は体の中でも特に活発に細胞分裂を行う場所ですが、冷えによってその機能が鈍ると健康な髪が生えにくくなります。

物理的な温かさとリラックス効果の両面から、入浴習慣を見直すことは育毛の基礎固めとして重要です。

無理なダイエットと栄養不足によるヘアサイクルの乱れ

「痩せてきれいになりたい」という願望は多くの女性が持っていますが、極端な食事制限は髪にとって致命的なダメージとなります。

間違ったダイエットがどのようにして髪の成長を阻害するのか、栄養学的な観点から紐解きます。

極端な糖質制限とタンパク質不足の弊害

短期間で体重を落とすために炭水化物を極端に抜いたり、食事量そのものを減らしたりするダイエットが流行しています。

しかし、エネルギー源となる糖質が極端に不足すると、体は自身の筋肉や組織を分解してエネルギーを作り出そうとします。

さらに、髪の主成分であるタンパク質(ケラチン)の摂取量が減れば、当然ながら髪を作る材料が枯渇します。

摂取カロリーが基礎代謝を下回るような飢餓状態になると、体は生命維持に不可欠な心臓や脳へ優先的に栄養を送ります。命に別状のない髪や爪への栄養供給は真っ先にカットされます。

その結果、髪は痩せ細り、抜け落ちてしまいます。髪は「血余(けつよ)」とも呼ばれ、栄養が十分に満ち足りて初めて美しく育つものなのです。

亜鉛や鉄分などミネラル欠乏による毛髪の脆弱化

タンパク質を髪に変える過程で、触媒のような働きをするのが「亜鉛」です。亜鉛が不足すると、いくらタンパク質を摂っても健康な髪に合成されません。

また、女性は月経があるため慢性的に「鉄分」が不足しがちです。鉄分は血液中のヘモグロビンの材料となり、酸素を運ぶ重要な役割を担っています。

鉄欠乏性貧血になると毛根への酸素供給が不足し、髪がパサパサになったり抜けやすくなったりします。野菜中心のサラダだけの食事や単品ダイエットでは、これらの微量ミネラルを必要量摂取することは困難です。

髪に必要な栄養素と食材

栄養素主な働き多く含む食材
タンパク質
(アミノ酸)
髪の毛そのものの材料となる肉類、魚介類、卵、大豆製品
亜鉛タンパク質の合成を助ける
新陳代謝を促す
牡蠣、レバー、牛肉、ナッツ類
鉄分酸素を運搬し、毛根の活動を支えるレバー、赤身肉、ほうれん草
ビタミンB群皮脂分泌のコントロール
代謝補助
豚肉、うなぎ、レバー、納豆

特に亜鉛は吸収率が悪く、意識して摂取しないとすぐに不足してしまう栄養素です。見落とされがちなミネラルバランスの崩壊が、若年性FAGAを加速させています。

添加物の多い食事と頭皮の糖化リスク

忙しさからコンビニ弁当やファストフード、スナック菓子などで食事を済ませてしまうことも、髪にとってはリスクとなります。

食品添加物や質の悪い油、過剰な糖分は、腸内環境を悪化させ、栄養の吸収率を下げてしまいます。さらに、余分な糖分が体内のタンパク質と結びつく「糖化」という現象が頭皮でも起こります。

頭皮が糖化すると弾力が失われて硬くなり、血行が悪化します。また、皮脂の過剰分泌を招き、脂漏性脱毛症のようなトラブルを併発する可能性も高まります。

カロリーだけでなく、食品の「質」に目を向けることが、内側からの育毛ケアには必要です。

睡眠不足と生活習慣の悪化が招く頭皮環境の低下

「寝る子は育つ」という言葉は、髪にとっても真実です。日中に受けたダメージを修復し、新しい髪を育てる活動は、私たちが眠っている間に最も活発に行われます。

睡眠不足やリズムの乱れが、髪の成長を妨げているメカニズムを解説します。

成長ホルモンの分泌と深夜帯の睡眠の重要性

髪の成長や頭皮の修復を促す「成長ホルモン」は、入眠後の深い眠り(ノンレム睡眠)の間に集中的に分泌されます。

かつては22時から2時がゴールデンタイムと言われていましたが、現在では時間帯よりも「眠り始めの3時間にどれだけ深く眠れるか」が重要視されています。

しかし、睡眠時間が絶対的に不足していれば、分泌されるホルモンの総量は減ってしまいます。

20代は仕事や付き合い、趣味などで夜更かしをしがちですが、慢性的な寝不足は髪の成長時間を削っていることと同義です。十分に成長できなかった髪は細く弱くなり、簡単に抜け落ちてしまいます。

寝不足の翌日に肌の調子が悪いように、頭皮もまた休息不足によるダメージをダイレクトに受けているのです。

スマホ依存によるブルーライトと睡眠負債

ベッドに入ってからもスマートフォンを手放せず、SNSや動画を見てしまう習慣は、睡眠の質を著しく低下させます。

画面から発せられるブルーライトは脳を覚醒させ、睡眠ホルモンである「メラトニン」の分泌を抑制してしまいます。その結果、寝つきが悪くなったり、眠りが浅くなったりします。

このような質の低い睡眠が続くと、体は「睡眠負債」を抱えることになります。借金のように積み重なった疲労は、週末の寝だめ程度では解消されません。

自律神経のバランスが崩れ、頭皮への血流調整もうまくいかなくなります。デジタルデトックスの時間を設け、脳を休息モードに切り替える習慣を持つことが、髪を守るためには大切です。

良質な睡眠のための習慣

行動効果実践のポイント
入浴のタイミング入眠をスムーズにする就寝の90分前までに入浴を済ませる
スマホ制限メラトニン分泌を促す就寝1時間前からは画面を見ない
光のコントロール睡眠の質を高める夜は暖色系の照明、朝は日光

不規則な生活が体内時計を狂わせるリスク

シフト勤務や休日の朝寝坊など、起床時間や就寝時間がバラバラな生活は体内時計を狂わせます。

人間の体はサーカディアンリズム(概日リズム)に従ってホルモン分泌や体温調節を行っています。このリズムが乱れると体はいつ活動し、いつ休息して修復すれば良いのか分からなくなります。

髪の成長も一定のリズムで行われているため、体内時計の乱れはヘアサイクルの乱れに直結します。

可能な限り同じ時間に起き、朝日を浴びて体内時計をリセットすることは、全身の健康だけでなく、健やかな髪を育てるための基本動作です。

ヘアケアやファッションによる頭皮への負担

良かれと思って行っているヘアケアや、おしゃれのためのスタイリングが、実は頭皮を痛めつけ、薄毛の原因になっていることがあります。

物理的・化学的なダメージを最小限に抑える方法について考えます。

洗浄力の強すぎるシャンプーと頭皮の乾燥

「頭皮を清潔にしなければ」という意識から、洗浄力の強い高級アルコール系のシャンプーでゴシゴシ洗ったり、一日に何度も洗髪したりすることは逆効果です。

必要な皮脂まで洗い流してしまうと頭皮のバリア機能が低下し、乾燥してフケやかゆみの原因となります。

失われた皮脂を補おうとして過剰に皮脂が分泌され、結果的に毛穴詰まりや酸化した皮脂による炎症を招くという悪循環に陥ります。

また、爪を立てて洗うことや、熱いお湯ですすぐことも頭皮を傷つけます。頭皮は顔と同じくらいデリケートな皮膚です。

頭皮に優しいケアのポイント

  • シャンプーは手で泡立ててから頭皮に乗せ、摩擦を防ぐ
  • すすぎは38度程度のぬるま湯で、洗う時間の倍の時間をかける
  • ドライヤーは頭皮から20cm以上離し、同じ場所に熱を当て続けない
  • 濡れたまま放置せず、すぐに乾かして雑菌の繁殖を防ぐ

アミノ酸系などのマイルドな洗浄成分のものを選び、指の腹で優しくマッサージするように洗うことが大切です。土壌である頭皮が乾燥して荒れていては、健康な作物は育ちません。

頻繁なカラーリングやパーマによるキューティクルの損傷

ハイトーンカラーや頻繁なパーマは髪の内部構造を破壊し、頭皮にも薬剤による負担をかけます。

薬剤が頭皮に付着するとアレルギー反応や炎症を引き起こし、毛根にダメージを与えることがあります。これが繰り返されると毛母細胞の活力が失われ、髪が細くなっていきます。

おしゃれを楽しむことは大切ですが、頭皮の状態が悪い時は施術を控える、頭皮保護のオイルを使用してもらうといった対策が求められます。

リタッチ(根元染め)を活用して頭皮への薬剤付着を減らすなど、美容師と相談しながら頭皮への優しさを優先する選択が必要です。

牽引性脱毛症のリスクとなるヘアアレンジ

ポニーテールやお団子ヘア、エクステンションなど髪を強く引っ張るヘアスタイルを長時間続けることで起こるのが「牽引(けんいん)性脱毛症」です。

常に毛根に引っ張られる力がかかり続けると血流が悪くなり、最終的には毛根が萎縮して髪が生えてこなくなります。特に生え際や分け目など、負担がかかりやすい部分から薄くなっていきます。

毎日同じ結び方をしない、帰宅したらすぐに髪をほどく、きつく縛りすぎないといった工夫が必要です。

また、分け目を定期的に変えることも特定の部分への負担を分散させるために有効です。物理的な負担は習慣を変えるだけですぐに軽減できる対策の一つです。

遺伝的要因と若年性FAGAの関係性

「親が薄毛だと自分も薄くなる」という話はよく耳にしますが、遺伝は若年性FAGAにどの程度影響しているのでしょうか。

遺伝の仕組みを理解し、環境要因をコントロールするための正しい知識を解説します。

母方だけでなく父方からの遺伝的影響

FAGAの遺伝については母方の家系からの影響が強いと言われることがありますが、実際には父方・母方双方からの遺伝的要素が複雑に関与しています。

薄毛になりやすい体質を受け継いでいるかどうかは、FAGAの発症リスクを測る上での一つの指標となります。

具体的には、5αリダクターゼという酵素の活性度や、男性ホルモン受容体(アンドロゲンレセプター)の感受性の高さなどが遺伝します。

これらが強く遺伝している場合、わずかなホルモンバランスの乱れでも敏感に反応し、薄毛の症状が出やすくなる傾向があります。

アンドロゲン受容体の感受性と個人差

薄毛の直接的な引き金となるのは、活性型男性ホルモン(DHT)が受容体と結合することです。この受容体の感受性、つまり「キャッチしやすさ」には個人差があり、遺伝によってある程度決定されています。

感受性が高い人は、体内の男性ホルモン量が正常範囲内であっても、薄毛のシグナルを受け取りやすくなってしまいます。

遺伝的要因と環境要因の比較

要因内容対策のアプローチ
遺伝的要因ホルモン受容体の感受性
酵素の活性度
変えられないが、治療薬でブロック可能
環境的要因生活習慣(食事、睡眠)
ストレス、誤ったケア
自分の意志と行動で改善可能

遺伝子検査を行えば自分のリスクを知ることができますが、重要なのは「感受性が高い=必ず禿げる」ではないということです。

感受性が高くても、生活習慣を整えてホルモンバランスを安定させ、頭皮環境を良好に保つことで、発症を防いだり進行を緩やかにしたりすることは十分に可能です。

遺伝だからと諦める前に知るべき環境要因の大きさ

近年の研究では遺伝的要因だけでなく、これまで述べてきたようなストレス、食事、睡眠、ヘアケアといった「環境要因」が、若年性FAGAの発症に大きく関わっていることが明らかになっています。

遺伝はあくまで「なりやすさ」の素質であり、そのスイッチを押すか押さないかは日々の生活習慣にかかっています。

20代での発症は遺伝的要素よりも環境的要素が強く引き金になっているケースも多々あります。「遺伝だから仕方ない」と諦めてしまう前に、自分自身でコントロールできる生活習慣の改善に取り組むことが大切です。

よくある質問

市販の育毛剤だけで若年性FAGAは治りますか?

市販の育毛剤は、頭皮の血行促進や栄養補給を目的としたものが多く、頭皮環境を整えるサポートとしての効果は期待できます。

しかし、既に若年性FAGAが進行している場合、根本的な原因であるホルモンバランスやヘアサイクルの乱れに直接作用する成分が含まれていないことが多いため、市販品だけで劇的な改善を望むのは難しい場合があります。

現状維持や予防の観点では有効ですが、明らかな薄毛の改善を目指すのであれば、専門医による診断と、医学的根拠に基づいた治療との併用を検討することが大切です。

20代で薄毛治療を始めるのは早すぎますか?

決して早すぎることはありません。むしろ、若年性FAGAは進行性の症状であるため、気づいた時点で早めに対策を始めることが最も効果的です。

毛根が完全に機能を失う前にケアを開始すれば、回復も早く、治療の選択肢も広がります。「まだ若いから」と様子を見ている間に症状が進行してしまうケースも少なくありません。

違和感を覚えたら、専門のクリニックでカウンセリングを受けるなど、早めのアクションを起こすことが、将来の美しい髪を守ることにつながります。

生活習慣を変えれば髪は元に戻りますか?

生活習慣の改善は、育毛の土台を作る上で非常に重要であり、軽度の症状や一時的な不調によるものであれば、生活を見直すことで髪の調子が戻ることもあります。

しかし、FAGAのメカニズムが既に強く働いている場合、生活習慣の改善だけでは進行を食い止めるのが難しいこともあります。

生活習慣の改善は「守り」のケア、医学的な治療は「攻め」のケアと言えます。この両輪を回すことが、若年性FAGAの克服には最も効率的です。

将来的な妊娠や出産に治療は影響しますか?

薄毛治療に使用される薬の中には、妊娠中や授乳中の使用が制限されるものがあります。特にホルモンに作用する内服薬の一部は、胎児への影響を考慮して服用が禁じられている場合があります。

しかし、妊娠を希望する時期に合わせて薬の種類を変更したり、外用薬中心のケアに切り替えたりするなど、ライフプランに合わせた治療方針を立てることは可能です。

自己判断で薬を使用したり中断したりせず、必ず医師に将来の妊娠希望などを伝え、適切な指導の下で治療を行うことが大切です。

治療をやめるとリバウンドしますか?

若年性FAGAの治療は、症状を抑え込み、髪が生えやすい状態を維持するために行うものです。

そのため、髪が生え揃ったからといって急に全ての治療を中断すると、抑え込まれていた薄毛の原因が再び活動を始め、元の状態に戻ってしまう(リバウンドする)可能性があります。

ただし、ある程度改善が見られた段階で、薬の量を減らしたり、維持療法へ切り替えたりすることは可能です。

治療のゴールは「完全にやめること」ではなく、「良い状態を無理なくキープすること」と捉え、医師と相談しながら長期的な視点で付き合っていくことが重要です。

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Dr.本田マイケル 武史のアバター Dr.本田マイケル 武史 MYCLI 統括院長 / 医療法人史真会 理事長

がん研有明病院や聖路加国際病院の形成外科にて、長年にわたり顕微鏡を用いた微細な手術(マイクロサージャリー)や組織移植に携わってきました。 自毛植毛において最も重要なのは、採取したドナー(毛根)をいかにダメージなく扱い、高い「生着率」を実現するか、そして自然な流れを再現するかです。私が再建外科の最前線で培ってきた、0.1ミリ単位の緻密な組織操作技術は、まさに自毛植毛のクオリティに直結します。「ただ増やす」だけでなく、形成外科医としての解剖学的知識に基づいた、安全で確実な毛髪再生医療をご提供します。

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