産後の抜け毛対策とシャンプー|頭皮への負担を減らすケア方法

産後の抜け毛は、ホルモンバランスの激変によって多くの女性が経験する一時的な現象であり、決してあなただけが抱える悩みではありません。

適切なシャンプー選びと頭皮への負担を抑えたケアを実践することで、健やかな髪が戻るまでの期間を心穏やかに過ごせます。

産後特有のデリケートな頭皮環境を正しく理解し、今日から始められる具体的な対策を実践して、髪への自信を取り戻しましょう。

目次

産後の抜け毛が起こる原因とホルモンバランスの変化

出産を終えた女性の体は、赤ちゃんを育てるための状態から通常の状態へと戻ろうとする大きな変化の中にあります。

この時期に発生する抜け毛は「分娩後脱毛症」とも呼ばれ、主に女性ホルモンの急激な変動が引き金となります。

原因を正しく理解することは、過度な不安を取り除き、適切な対策を講じるための第一歩です。なぜ産後に髪が抜けるのか、その背景にある体の仕組みを紐解きます。

エストロゲンの急激な減少とヘアサイクル

妊娠中は、女性ホルモンの一種である「エストロゲン」の分泌量が大幅に増加します。

エストロゲンには髪の成長期を延長させる働きがあるため、本来であれば抜け落ちるはずの髪が抜けずに頭皮に留まり続けます。

妊娠中に髪が増えたり、ツヤが出たりしたと感じる方が多いのは、このホルモンの働きによるものです。

しかし、出産を機にエストロゲンの分泌量は妊娠前の水準に戻るため、急激に減少します。その結果、成長期を維持していた髪が一斉に休止期へと移行します。

本来抜けるはずだった髪と合わせて大量に抜け落ちてしまいますが、これが産後の抜け毛の正体です。

髪が新しく生え変わるための準備期間に入った証拠であり、体が正常に回復しようとしているサインとも言えます。

産後のホルモン変化と髪の状態

時期ホルモンの状態髪の状態
妊娠中エストロゲンが増加し続ける髪の寿命が延び、抜けにくい状態が続く
出産直後エストロゲンが急激に減少するホルモンバランスが乱れ、髪質が変化しやすい
産後3〜6ヶ月通常値に戻り安定し始める維持されていた髪が一気に抜け落ちるピーク
産後1年以降ホルモンバランスが整う新しい髪が生え、徐々にボリュームが戻る

生活環境の変化とストレスの影響

ホルモンバランスだけでなく、産後特有の生活環境の変化も抜け毛を助長する要因となります。

慣れない育児へのプレッシャーや、自分の時間が持てないことへの焦りなど、精神的なストレスは自律神経の働きを乱します。

自律神経が乱れると、血管が収縮し血行不良を引き起こすため、頭皮や髪に必要な栄養が行き渡りにくくなります。

また、夜泣き対応などによる慢性的な睡眠不足も深刻です。髪の成長に関わる成長ホルモンは睡眠中に多く分泌されます。

質の良い睡眠がとれないことは、髪の回復を遅らせる原因となります。

心身のストレスを完全になくすことは難しいですが、家族の協力を得て少しでも休息をとる意識を持つことが、髪の健康にとっても大切です。

栄養不足と授乳によるエネルギー消費

母乳育児を行っている場合、お母さんの摂取した栄養は優先的に母乳へと回されます。

血液から作られる母乳には多くのタンパク質やビタミン、ミネラルが含まれており、これらは本来髪を作るためにも必要な栄養素です。

そのため、普段通りの食事をしていても、母体は栄養不足の状態に陥りやすくなります。

特に、髪の主成分であるタンパク質(ケラチン)や、その合成を助ける亜鉛、鉄分が不足すると、髪は細く弱くなり、抜けやすくなります。

産後のダイエットは体力を消耗させるだけでなく、薄毛を加速させるリスクがあるため、バランスの取れた食事が重要です。

産後の頭皮環境とシャンプー選びの重要性

産後の頭皮は、顔の肌と同様に非常に敏感でデリケートな状態に変化しています。頭皮環境の変化に合わせたシャンプー選びを行うことが、回復への近道です。

敏感になった頭皮への刺激を避ける

ホルモンバランスの乱れは、皮膚のバリア機能を低下させます。

外部からの刺激に対して弱くなっているため、普段は何ともなかった成分に対しても過敏に反応し、炎症を起こすことがあります。

炎症が起きると、毛根にダメージが及び、健康な髪が生えにくい環境を作ってしまいます。特に洗浄力が強すぎるシャンプーは、頭皮に必要な潤いまで奪い去り、無防備な状態にしてしまいます。

産後は「汚れを落とす」ことよりも「頭皮を守る」ことに重点を置いたアイテム選びが必要です。マイルドな洗浄力で、肌と同じ弱酸性のものを選ぶなど、頭皮への優しさを優先した選択が重要です。

産後の頭皮に見られる特徴的なトラブル

  • 乾燥によるフケや痒みが発生しやすくなる
  • 皮脂の分泌バランスが崩れ、ベタつきを感じることもある
  • 頭皮が硬くなり、血行が悪くなっている
  • わずかな刺激で赤みや湿疹が出やすくなる
  • 髪の立ち上がりが悪く、ペタンとしやすくなる

乾燥と皮脂バランスの乱れへの対応

産後は肌の水分量が減少し、頭皮も乾燥しやすい傾向にあります。頭皮が乾燥すると、防御反応として過剰に皮脂を分泌しようとする働きが起こります。

これが「乾燥しているのにベタつく」というインナードライ状態を引き起こし、フケやニオイの原因となることがあります。

この状態で「ベタつくから」といって洗浄力の高いシャンプーでゴシゴシ洗うと、さらに乾燥が進み、皮脂分泌が加速するという悪循環に陥ります。

必要なのは、適度な皮脂を残しながら汚れだけを落とし、同時に保湿も行うケアです。保湿成分が配合されたシャンプーを選ぶことで、頭皮の水分と油分のバランスを整えることができます。

健やかな髪を育てる土台作り

髪は土壌である頭皮から栄養を受け取って成長します。畑が荒れていては良い作物が育たないのと同様に、頭皮環境が乱れていては、抜け毛が落ち着いた後に生えてくる新しい髪も細く弱々しいものになってしまいます。

今のケアは、数ヶ月後、数年後の髪の美しさを決める投資でもあります。毎日のシャンプーは単に髪を洗うだけでなく、頭皮という土台を耕し、整える行為です。

頭皮を清潔に保ちつつ、血行を妨げない優しいマッサージを行うことで、毛母細胞へ栄養が届きやすくなります。

頭皮への負担を減らすシャンプーの成分と選び方

数多くのシャンプーが販売されている中で、産後のデリケートな頭皮に適したものを見極めるには、成分表示を確認する知識が役立ちます。成分の特徴を知ることで、健やかな環境を整えることができます。

アミノ酸系洗浄成分のメリット

産後のシャンプー選びで最も推奨したいのが「アミノ酸系」の洗浄成分を配合したものです。アミノ酸は私たちの肌や髪を構成するタンパク質の元となる成分であり、肌と同じ弱酸性です。

そのため、頭皮への刺激が極めて少なく、必要な皮脂を残しながら汚れだけを優しく落とすことができます。

成分表を見た際に、「ココイル〜」「ラウロイル〜」という名称で始まる成分が上位に記載されているものがアミノ酸系シャンプーの特徴です。

泡立ちの面では一般的なシャンプーより控えめな場合もありますが、洗い上がりの頭皮が突っ張らず、しっとりとした保湿感を保てるのが大きな利点です。

乾燥や敏感肌に悩む産後ママにとって、非常に頼もしい選択肢となります。

避けるべき強い洗浄成分

一方で、避けたいのが「高級アルコール系」と呼ばれる洗浄力が非常に強い成分です。これらは安価で泡立ちが良い反面、脱脂力が強すぎて頭皮のバリア機能を壊してしまう恐れがあります。

「ラウレス硫酸ナトリウム」や「ラウリル硫酸ナトリウム」などがこれに該当します。

また、「オレフィン(C14-16)スルホン酸Na」も、硫酸系と同様に高い洗浄力を持つため、乾燥しやすい産後の頭皮には刺激となる可能性があります。

これらの成分は健康で脂性肌の方には適していますが、産後の敏感な時期には負担が大きすぎます。購入の際は成分表示を確認し、強い洗浄成分を避けるのが賢明です。

洗浄成分の種類と産後への適合性

洗浄成分の系統代表的な成分名産後への適合性
アミノ酸系ココイルグルタミン酸Na
ラウロイルメチルアラニンNa
適している
(低刺激・保湿力あり)
ベタイン系コカミドプロピルベタイン適している
(非常にマイルド)
高級アルコール系ラウレス硫酸Na
ラウリル硫酸Na
避けるのが無難
(洗浄力・刺激が強い)
オレフィン系オレフィン(C14-16)スルホン酸Na注意が必要
(脱脂力が強い)

保湿成分と無添加へのこだわり

洗浄成分だけでなく、頭皮を潤す保湿成分が含まれているかどうかも重要なポイントです。

セラミド、ヒアルロン酸、コラーゲン、植物エキスなどが配合されていると、洗髪中の乾燥を防ぎ、頭皮環境を整える効果が期待できます。

特に、天然由来のオイルは頭皮の皮脂に近い成分であるため馴染みが良く、柔軟性を保つのに役立ちます。

また、「無添加」という表示にも注目しましょう。ただし、何が無添加なのかを確認することが大切です。

パラベン、合成香料、合成着色料、シリコンなどが無添加である製品は、アレルギーや刺激のリスクを低減できます。

敏感な時期だからこそ、余計なものが入っていないシンプルな処方の製品を選ぶことで、トラブルを未然に防ぐことができます。

香りとリラックス効果

機能面だけでなく、香りもシャンプー選びの大切な要素です。育児中は自分の時間が限られ、バスタイムが唯一のリラックスタイムになることも少なくありません。

自分が心地よいと感じる香りに包まれることは、副交感神経を優位にし、ストレスを軽減する効果があります。

合成香料の強い香りが苦手な場合は、天然精油(エッセンシャルオイル)を使用したものがおすすめです。

ラベンダーやベルガモット、ゼラニウムなどの香りは心を落ち着かせ、安眠を促す効果も期待できます。

抜け毛を増やさない正しいシャンプーの手順

どれほど良いシャンプーを使っていても、洗い方が間違っていては頭皮への負担となり、抜け毛を助長してしまいます。

頭皮への摩擦や刺激を最小限に抑えつつ、汚れをしっかりと落とすための正しい洗髪手順を解説します。

予洗いで汚れを落とす重要性

シャンプー剤をつける前に、お湯だけで髪と頭皮を洗う「予洗い」を十分に行うことが非常に重要です。実は髪の汚れの約8割は、この予洗いだけで落とすことができると言われています。

38度前後のぬるま湯を使い、1〜2分程度かけて丁寧に頭皮を流しましょう。

予洗いをしっかり行うことで頭皮の毛穴が開いて汚れが浮きやすくなるだけでなく、髪が水分を十分に含みます。そのおかげで、少量のシャンプーでも驚くほど泡立ちが良くなります。

シャンプー剤の使用量を減らすことは、頭皮への化学的な刺激を減らすことにもつながります。予洗いは単なる準備ではなく、洗髪のメイン工程の一つと捉えてください。

泡立てと指の腹を使った洗い方

シャンプー剤を直接頭皮につけて泡立てるのは厳禁です。原液が頭皮に付着すると刺激が強く、すすぎ残しの原因にもなります。

必ず手のひらで軽く泡立ててから髪に乗せ、空気を含ませるようにしてたっぷりの泡を作ります。泡はクッションの役割を果たし、髪同士の摩擦を防いでくれます。

洗う際は、爪を立てず、指の腹を使って頭皮を優しく揉み込むように洗います。ゴシゴシと擦るのではなく、頭皮を動かすようなイメージでマッサージ洗いをすることで血行も促進されます。

特に生え際や耳の後ろ、襟足などは洗い残しが多い部分なので、意識して指を通しましょう。優しく洗うことで、成長途中の弱い髪が抜けるのを防ぐことができます。

頭皮を守る洗髪のNG行動と正しい行動

工程やってはいけないNG行動頭皮に優しい正しい行動
湯温40度以上の熱いお湯で洗う
(乾燥の原因になる)
38度前後のぬるま湯で洗う
(皮脂を取りすぎない)
洗髪爪を立ててガシガシ洗う
(頭皮を傷つける)
指の腹で頭皮を揉むように洗う
(血行促進効果)
回数1日に2回以上シャンプーする
(バリア機能低下)
1日1回、夜に洗う
(清潔な状態で就寝)

すすぎ残しを防ぐポイント

洗髪のトラブルで最も多いのが「すすぎ残し」によるものです。シャンプーの洗浄成分が頭皮に残ると、それが酸化して過酸化脂質となり、炎症やニオイ、抜け毛の原因となります。

洗う時間の2倍から3倍の時間をかけて、ヌルつきがなくなるまで徹底的にすすぐことが必要です。特に、髪の量が多い方や長い方は、表面だけ流して内側がすすげていないことが多々あります。

シャワーヘッドを頭皮に近づけ、髪を分けながら地肌にお湯を当てるようにしてください。耳の裏や首筋の生え際も泡が残りやすいので、鏡で見えない部分こそ念入りに流しましょう。

タオルドライとドライヤーのコツ

お風呂上がりの濡れた髪はキューティクルが開いており、非常に無防備で傷みやすい状態です。

タオルで拭く際はゴシゴシと擦り合わせるのではなく、タオルで髪を挟んで水分を吸い取るように優しくプレスします。頭皮の水分もしっかり拭き取ることで、ドライヤーの時間を短縮できます。

ドライヤーは頭皮から20cmほど離し、一箇所に熱が集中しないように振りながら風を当てます。まずは根元を中心に乾かし、頭皮をしっかり乾燥させることが雑菌の繁殖を防ぐポイントです。

ただし、乾かしすぎ(オーバードライ)も頭皮の乾燥を招くため、8割程度乾いたら冷風に切り替えて仕上げましょう。

キューティクルが引き締まり、ツヤが出ます。自然乾燥は頭皮環境を悪化させるため、育児で忙しくても必ず乾かす習慣をつけてください。

シャンプー以外の頭皮ケアと生活習慣の見直し

シャンプーによる外的ケアも重要ですが、髪は血液から運ばれる栄養によって作られるため、体の内側からのケアも同じくらい大切です。

日常生活の中で無理なく取り入れられる、髪と頭皮のための習慣について紹介します。

質の高い睡眠をとる工夫

「産後にまとまった睡眠をとる」というのは非常に難しい課題ですが、睡眠の「質」を高めることは可能です。

髪の成長に不可欠な成長ホルモンは、入眠後の深い眠りの時にもっとも多く分泌されます。赤ちゃんが寝ている隙間時間に一緒に仮眠をとるなど、短時間でも深く眠れるよう工夫しましょう。

寝る直前までのスマートフォンの使用は脳を覚醒させ、睡眠の質を下げてしまいます。

授乳の合間など少しでも目を閉じてリラックスする時間を設けるだけでも、副交感神経が働き、体の修復機能が高まります。

また、自分に合った枕を使うことで首や肩のコリを軽減し、頭皮への血流をスムーズにすることも効果的です。

髪に良い食事とサプリメント活用

健康な髪を作るためには、タンパク質、ビタミン、ミネラルをバランスよく摂取することが基本です。

特に髪の主成分である「ケラチン」の合成には、タンパク質だけでなく、亜鉛やビタミンB群の助けが必要です。

産後は母乳や体力回復に栄養が使われるため、意識してこれらの栄養素を摂る必要があります。

しかし、毎食バランスの取れた料理を作るのは大変です。そんな時は、納豆や卵、豆腐などの手軽なタンパク源を活用してください。調理不要なチーズやナッツをおやつに取り入れるのもおすすめです。

食事だけで補うのが難しい場合は、産後の授乳期でも飲めるマルチビタミンや亜鉛のサプリメントを補助的に利用することも検討してみてください。

髪の成長を助ける主要な栄養素と食材

栄養素髪への働き多く含む食材
タンパク質髪の毛そのものを作る材料となる肉、魚、卵、大豆製品、乳製品
亜鉛タンパク質を髪に変える際に必要牡蠣、レバー、ナッツ類、牛肉
ビタミンB群頭皮の代謝を促し、環境を整える豚肉、レバー、マグロ、バナナ
ビタミンE血行を促進し、栄養を運びやすくするアーモンド、アボカド、カボチャ

頭皮マッサージでの血行促進

頭皮が硬くなると血行が悪くなり、毛根に十分な栄養が届きにくくなります。

隙間時間に行える頭皮マッサージは血行を促進し、リラックス効果も得られる優れたケア方法です。特別な道具は必要なく、自分の指を使って気持ち良いと感じる強さで頭皮を動かすだけで十分です。

耳の上から頭頂部に向かって引き上げるようにマッサージしたり、首の後ろのくぼみを親指で押したりすることで、頭部への血流が改善されます。

シャンプー中に行えば滑りが良く摩擦も防げますし、授乳中やテレビを見ながらの「ながらケア」としても取り入れられます。1日数分でも継続することで頭皮が柔らかくなり、育毛しやすい環境が整っていきます。

育毛剤やトリートメントの活用時期と注意点

「抜け毛を早く止めたい」という思いから、育毛剤の使用を検討する方も多いでしょう。また、パサつく髪をどうにかしようとトリートメントを多用することもあります。

プラスアルファのケアアイテムを効果的かつ安全に取り入れるためのポイントを解説します。

産後専用育毛剤の選び方

一般的な育毛剤の中には男性ホルモンに作用する成分や、アルコール濃度が高く刺激の強いものが含まれていることがあります。

産後の抜け毛はホルモンバランスの変化が主な原因であるため、産後の女性向けに開発された育毛剤を選ぶことが大切です。

これらは保湿効果が高く、低刺激で作られているものが大半です。選ぶ際は、「産後・授乳中も使用可能」と明記されているかを確認しましょう。

女性ホルモン様作用を持つ成分や、頭皮の血行を促す成分などが配合されているものが適しています。

育毛剤は即効性があるものではなく、頭皮環境を整えてこれから生えてくる髪を育てるものです。焦らず数ヶ月単位で継続することが前提となります。

選ぶべき育毛ケア製品の基準

  • 「産後」「授乳中」の使用可否が明記されている
  • アルコール(エタノール)フリー、または低アルコールである
  • 無香料、または天然精油の穏やかな香りである
  • スプレータイプより、頭皮に直接塗れるノズルタイプが使いやすい
  • 定期購入の縛りがなく、自分のペースで続けやすい

頭皮につけないトリートメント法

髪のパサつきを抑えるためにトリートメントやコンディショナーは有効ですが、使い分けが重要です。これらは基本的に「髪の毛」を補修するためのものであり、「頭皮」につけるものではありません。

シリコンや油分が多く含まれているため、頭皮に付着すると毛穴を塞いでしまい、トラブルの原因になることがあります。

トリートメントを使用する際は、毛先を中心になじませ、根元や頭皮にはつけないように注意しましょう。

もし頭皮の乾燥が気になる場合は、頭皮専用の保湿ローションやスカルプエッセンスを使用してください。髪用のトリートメントとは明確に使い分けることが大切です。

洗い流さないトリートメント(アウトバス)も同様に、毛先を中心に塗布することで、頭皮への負担を避けつつ髪をケアできます。

使用を開始するタイミング

産後すぐに育毛剤を使い始めるべきか悩むところですが、頭皮の状態によります。傷や湿疹などのトラブルがある場合は使用を控え、まずは皮膚科で治療することを優先してください。

頭皮の状態が比較的落ち着いていれば、産後すぐから使用しても問題ありません。むしろ、抜け毛がピークを迎える前から頭皮環境を整えておくことで、回復期の発毛をスムーズにする効果が期待できます。

ただし、新しい化粧品と同様に、まずは少量でパッチテストを行うなど、肌に合うか確認してから本格的に使用を開始することをおすすめします。

体調や肌質が変わりやすい時期なので、違和感を感じたらすぐに使用を中止し、様子を見る柔軟さも必要です。

美容院でのケアとスタイリングの工夫

自宅でのケアに加えて、美容院でのプロによるケアや、日々のスタイリングを工夫することで、抜け毛の悩みを視覚的にカバーできます。髪型が変われば気分転換にもなり、ストレス解消にもつながります。

抜け毛を目立たせない髪型

抜け毛が増えると、特に生え際や分け目の薄さが気になりがちです。

このような場合、分け目をあえて作らないスタイルや、ジグザグに分け目を取ることで、地肌の露出を目立たなくすることができます。また、トップにボリュームを持たせるレイヤースタイルも効果的です。

ロングヘアは髪の重みでトップが潰れやすく、薄毛が目立ちやすい傾向があります。思い切ってショートやボブにすることで、髪全体のボリューム感が出やすくなり、洗髪やドライヤーの時間も短縮できます。

育児中のママには一石二鳥です。前髪を厚めに作ることで、生え際の薄さをカバーする方法も人気があります。

産後の悩みをカバーするヘアスタイル提案

スタイルメリットおすすめの理由
ショートボブ手入れが楽でボリュームが出やすいトップがふんわりしやすく、若々しい印象になる
厚めバング生え際の薄さを隠せるM字部分の薄毛を自然にカバーできる
パーマスタイル全体的に動きとボリュームが出るスタイリング剤を揉み込むだけで形になる
まとめ髪抜け毛が落ちるのを防げるシュシュなどで緩く結べば、家事育児もしやすい

カラーやパーマの再開時期

「産後いつからカラーやパーマをしていいのか」という疑問も多く聞かれます。

医学的に明確な禁止期間はありませんが、頭皮が敏感になっている産後数ヶ月間は薬剤の刺激でしみたり、炎症を起こしたりするリスクが高まっています。

また、長時間美容院の椅子に座り続けることが体への負担になる場合もあります。できれば抜け毛のピークが落ち着き、頭皮の状態が安定してくる産後6ヶ月以降を目安に再開するのが無難です。

どうしても早めに染めたい場合は、頭皮に薬剤をつけない「ゼロテク」という塗布方法や、低刺激なメニューがないか相談してみましょう。

授乳中であることを伝えれば、施術時間を配慮してくれることもあります。

ヘッドスパの効果と注意点

美容院でのヘッドスパは、毛穴の詰まりを除去し、プロのマッサージで血行を促進するため、育毛環境を整えるのに非常に効果的です。

何より、リラックス効果が高く、日頃の育児疲れを癒やす自分へのご褒美としても最適です。ストレス解消は間接的に抜け毛対策にもなります。

ただし、力が強すぎるマッサージは逆効果になることもあるため、「産後で抜け毛が気になっている」ことを施術前に必ず伝えてください。

炭酸泉を使ったスパなどは、血行促進効果が高く、頭皮への負担も少ないためおすすめです。頻繁に通えなくても、数ヶ月に一度のリフレッシュとして取り入れる価値は十分にあります。

よくある質問

産後の抜け毛はいつまで続きますか?

個人差はありますが、一般的に産後2〜3ヶ月頃から始まり、6ヶ月頃にピークを迎えます。

その後、徐々に落ち着き始め、産後1年ほどで元のボリュームに戻る方が多いです。

もし1年以上経過しても改善の兆しが見られない場合は、別の要因も考えられるため、専門医への相談を検討してください。

シャンプーの頻度を変える必要はありますか?

基本的には1日1回、夜に洗髪してその日の汚れを落とすのが理想です。

抜け毛が怖いからといって数日に1回に減らすと皮脂が酸化して頭皮環境が悪化し、逆効果になります。逆に、1日に何度も洗うのは乾燥を招くため避けてください。

頭皮が痒いのですが、どうすれば良いですか?

乾燥が主な原因と考えられます。まずはシャンプーを洗浄力の優しいアミノ酸系に変え、お湯の温度をぬるめに設定してください。

それでも改善しない場合は、頭皮用の保湿ローションを使用し、痒みがある部分を冷やすのも一時的な対策として有効です。掻きむしると炎症が悪化するため注意が必要です。

母乳育児をやめれば抜け毛は減りますか?

断乳してもホルモンバランスが即座に整うわけではないため、直接的に抜け毛が急減するわけではありません。

母乳育児はカロリーや栄養を消費しますが、食事でしっかりと栄養を補えば髪への影響は抑えられます。

抜け毛のために無理に断乳する必要はなく、自身のライフスタイルに合わせて判断してください。

どのタイミングで病院に行くべきですか?

大量の抜け毛が産後1年を過ぎても続く場合や、円形脱毛症のように特定の部分が完全に抜けてしまった場合は、皮膚科を受診してください。

頭皮に強い炎症やフケが大量に出る場合も同様です。

甲状腺の病気などが隠れている可能性もゼロではないため、不安な場合は早めの受診をおすすめします。

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この記事を書いた人

Dr.本田マイケル 武史のアバター Dr.本田マイケル 武史 MYCLI 統括院長 / 医療法人史真会 理事長

がん研有明病院や聖路加国際病院の形成外科にて、長年にわたり顕微鏡を用いた微細な手術(マイクロサージャリー)や組織移植に携わってきました。 自毛植毛において最も重要なのは、採取したドナー(毛根)をいかにダメージなく扱い、高い「生着率」を実現するか、そして自然な流れを再現するかです。私が再建外科の最前線で培ってきた、0.1ミリ単位の緻密な組織操作技術は、まさに自毛植毛のクオリティに直結します。「ただ増やす」だけでなく、形成外科医としての解剖学的知識に基づいた、安全で確実な毛髪再生医療をご提供します。

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