子供の牽引性脱毛症が増えている?習い事や毎日の髪型で親が気をつけるべき点

子供の牽引性脱毛症が増えている?習い事や毎日の髪型で親が気をつけるべき点

牽引性脱毛症(けんいんせいだつもうしょう)は、髪を強く引っ張る力が長く続くことで起こる脱毛です。大人だけの問題と思われがちですが、近年は子供にも増えていることが報告されています。

ポニーテールやお団子ヘア、バレエやチアダンスでのきつい髪型など、日常の何気ない習慣がお子さんの髪と頭皮にダメージを与えているかもしれません。

この記事では、子供の牽引性脱毛症の原因から早期発見のサイン、家庭でできる予防法まで、親御さんが知っておくべきポイントを詳しく解説します。早い段階で気づけば回復できるケースがほとんどなので、ぜひ参考にしてください。

目次

牽引性脱毛症は子供にも起こる|髪が抜ける仕組みを正しく知ろう

牽引性脱毛症は、髪を引っ張る力が毛根に繰り返し加わることで毛包(もうほう:髪の毛を作り出す器官)がダメージを受け、やがて髪が抜けてしまう疾患です。子供であっても、毎日の髪型や習い事によって同じ負荷がかかれば発症します。

牽引性脱毛症は引っ張る力の蓄積で毛根が傷つく

牽引性脱毛症という名前のとおり、原因は髪にかかる「引っ張る力(牽引力)」です。1回だけ髪をきつく結んだからといって、すぐに脱毛に至るわけではありません。

問題となるのは、同じ方向へ引っ張る力が長期間にわたって繰り返されるケースです。その結果、毛包周辺に炎症が起こり、毛髪の成長を支える毛乳頭(もうにゅうとう)にダメージが蓄積します。

初期であれば髪型を変えるだけで自然に回復する場合がほとんどです。しかし慢性化すると瘢痕(はんこん:傷あとのような組織変化)が形成され、永久に髪が生えなくなることもあるため、早めの対処が大切です。

6歳から15歳の子供にも一定の割合で確認されている

牽引性脱毛症は決して大人だけの症状ではありません。海外の研究では、6歳から15歳の子供における発症率が8.6%から21.7%と報告されています。

とくに女の子はポニーテールや三つ編みなど、髪を結ぶ機会が男の子より圧倒的に多いため、牽引性脱毛症の発症リスクが高くなります。実際に、アフリカ系の学童を対象とした調査では、女子の17.1%に牽引性脱毛症の兆候が認められました。

牽引性脱毛症の進行段階

段階状態回復の見込み
初期(非瘢痕性)毛包周辺の赤みや軽い炎症髪型を変えれば回復可能
中期髪の密度が低下し、細い毛が増える治療と生活改善で改善が見込める
後期(瘢痕性)毛包が破壊され、瘢痕が形成自然回復は困難で医療介入が必要

大人と子供で発症の仕組みは同じだが、子供は気づきにくい

牽引性脱毛症が起こる仕組みそのものは、大人でも子供でも変わりません。髪を引っ張る力が毛包を傷め、炎症から脱毛へと進行します。

ただし子供の場合、髪型を選ぶのは本人ではなく親やヘアスタイリストであることが多いため、本人が痛みや違和感を訴えにくい傾向にあります。子供が「頭が痛い」「髪が引っ張られて嫌だ」と言った場合は、見過ごさないことが大切です。

毎日のポニーテールやお団子ヘアが子供の牽引性脱毛症を招くことがある

お子さんの朝の支度で、手軽にまとめられるポニーテールやお団子ヘアは定番でしょう。しかし、きつく結ぶ髪型を毎日続けると、牽引性脱毛症のリスクが高まります。

きついポニーテールは前頭部・側頭部の生え際に負担がかかる

ポニーテールは後方に向かって髪を引っ張るため、とくに前頭部と側頭部の生え際に大きな力がかかります。毎日同じ位置で結び続けると、その部分の毛包が慢性的にストレスを受けることになるでしょう。

中国の女性を対象とした研究でも、週4日以上ポニーテールをしていた女性の79%に前頭部の薄毛が確認されたという報告があります。子供の柔らかい毛根は大人以上にダメージを受けやすいため、注意が必要です。

三つ編みやコーンロウなど編み込み系の髪型もリスクが高い

三つ編みやコーンロウ(頭皮に沿って編み込むスタイル)は、髪を長時間引っ張った状態を維持するため、牽引性脱毛症を発症しやすい髪型として知られています。

とくに編み込みにビーズやバレッタなどの装飾品を付けると、その重さが加わってさらに毛根への負担が増します。装飾品の重みは見た目以上に頭皮へ影響を与えるため、なるべく軽いものを選びましょう。

同じ結び方を毎日繰り返すことが最大のリスク要因

どんな髪型であっても、同じ結び方・同じ方向への力が毎日加わり続けることが牽引性脱毛症の発症において最大のリスク要因となります。日によって分け目を変えたり、結ぶ位置をずらしたりするだけでも負担は分散されます。

「うちの子は毎日同じ髪型」という場合は、2〜3パターンのヘアスタイルをローテーションする習慣をつけてみてください。それだけでもお子さんの頭皮への負担は大きく変わります。

髪型牽引リスク負担がかかる部位
ポニーテール(高い位置)中〜高前頭部・側頭部の生え際
お団子ヘア中〜高後頭部・頭頂部周辺
三つ編み・コーンロウ編み込みラインに沿った部分
ハーフアップ(ゆるめ)分散されるため負担は少ない
ダウンスタイル(下ろした状態)ほぼなし牽引力がかからない

バレエやチアダンスの髪型が牽引性脱毛症の原因になるケースとは

バレエやチアダンス、新体操など「きちんとまとめた髪型」が求められる習い事は、お子さんの毛根に想像以上の負荷をかけている場合があります。練習のたびにきつく結ぶ習慣が牽引性脱毛症につながるケースは少なくありません。

バレエのシニヨンは長時間の牽引が頭皮にダメージを蓄積させる

バレエのレッスンでは、シニヨン(おだんご)にまとめるのが基本です。ピンやネットでしっかり固定するため、数時間にわたって頭皮に強い引っ張りの力が加わり続けます。

実際にバレリーナの牽引性脱毛症を報告した研究もあり、長期間にわたるシニヨンスタイルが毛包の炎症と脱毛を引き起こすことが確認されています。週に何回もレッスンがある場合は、練習後はすぐに髪をほどくことが大切です。

チアダンスや新体操もきつい髪型が求められやすい

チアダンスや新体操では、演技中に髪が乱れないようタイトなポニーテールや編み込みが一般的でしょう。大会やイベント前にはヘアスプレーやジェルで固める場合もあり、毛根への負担はさらに大きくなります。

習い事別の牽引リスク比較

習い事主な髪型牽引の持続時間
バレエシニヨン(お団子)1〜3時間
チアダンス高い位置のポニーテール1〜2時間
新体操お団子+ピン留め1〜3時間
水泳キャップ着用(牽引は少ない)短時間

習い事で使うヘアゴムやピンの選び方が髪の負担を左右する

ゴムの素材やピンの種類を変えるだけでも、頭皮への引っ張りを軽くできます。細い輪ゴムは毛髪に絡まりやすく、外すときに髪を引きちぎってしまうことがあるため避けたほうがよいでしょう。

布でコーティングされたヘアゴムや、スパイラル型のヘアタイを使うと、摩擦と圧力を軽減できます。また、U字ピンはまっすぐなアメピンより頭皮への圧が分散されるため、お子さんの髪にもやさしい選択といえます。

習い事の日以外は髪をしっかり休ませてあげたい

毎日きつく結ぶのではなく、習い事がある日だけまとめ髪にし、それ以外の日は髪を下ろすかゆるく結ぶようにしましょう。「休息日」を設けることで毛根へのダメージが蓄積しにくくなります。

お子さん自身も「髪を結ばない日は楽」と感じるかもしれません。親子で一緒にヘアスタイルのバリエーションを楽しみながら、頭皮の負担を減らす工夫を取り入れてみてください。

子供の牽引性脱毛症を早期発見するための具体的なサインを見逃さない

牽引性脱毛症は早い段階で気づければ、ほとんどの場合回復が見込めます。お子さんの頭皮や生え際に以下のようなサインが見られたら、牽引性脱毛症を疑ってみてください。

生え際が少しずつ後退している、または産毛のような細い毛が増えた

牽引性脱毛症の初期に現れやすいのが、前頭部や側頭部の生え際の後退です。太い毛が抜けたあとに産毛のような細くて短い毛だけが残る状態は、「フリンジサイン」と呼ばれ、牽引性脱毛症に特徴的な所見とされています。

お風呂あがりや朝の支度のときに、お子さんの額の生え際をそっと観察してみましょう。以前より生え際が広くなっている、あるいは細い毛ばかりが目立つようであれば注意が必要です。

髪を結んだあとに頭皮が赤くなる、ブツブツができている

毛包周辺の赤み(毛包周囲紅斑)や、小さなブツブツ(毛包炎)は、牽引性脱毛症の初期段階で見られるサインです。これは毛根が引っ張りの力に抵抗して炎症を起こしている状態にあたります。

結んだ部分をほどいたあとに頭皮が赤くなっていたり、お子さんが「頭がかゆい」「痛い」と訴えたりする場合は、その髪型がきつすぎる可能性が高いでしょう。

特定の部分だけ髪が薄くなっている、切れ毛が目立つ

いつも同じ位置で結ぶことで、結び目やゴムの位置に沿って髪が薄くなることがあります。切れ毛や折れた毛が多い場合も、牽引力によるダメージが考えられます。

ブラッシングのときに特定の場所からとくに多く毛が抜ける、短い切れ毛が目立つといった変化を感じたら、髪の結び方を見直すタイミングかもしれません。

  • 前頭部や側頭部の生え際に産毛のような細い毛が目立つ(フリンジサイン)
  • 髪を結んでいた部分に赤みやブツブツがある
  • 結び目付近の髪密度が明らかに低下している
  • 短い切れ毛や折れた毛が増えてきた
  • お子さんが「頭が痛い」「かゆい」と頻繁に訴える

円形脱毛症との見分け方も親が知っておきたいポイント

牽引性脱毛症は、円形脱毛症(えんけいだつもうしょう)と混同されやすい症状です。どちらも部分的に髪が抜けるため、見た目だけでは判断が難しい場合があるでしょう。

大きな違いは脱毛のパターンです。牽引性脱毛症は髪を引っ張っていた方向に沿って生え際や分け目の線上に脱毛が現れます。一方、円形脱毛症はコインのような円形の脱毛斑が突然現れるのが特徴です。判断に迷ったら、皮膚科の受診をお勧めします。

牽引性脱毛症から子供の髪を守る日常の予防策|親ができること

牽引性脱毛症は予防できる脱毛症です。毎日のちょっとした心がけで、お子さんの髪と頭皮を守ることができます。親子で楽しみながら取り組める具体的な方法を紹介します。

髪を結ぶ位置とゴムの強さを毎日変えるだけで効果がある

同じ場所で同じ強さに結び続けることが牽引性脱毛症の一番の原因です。結ぶ位置を高め・低め・左右にずらすなど、日替わりで変えてみましょう。

ゴムの締め具合も「ゆるすぎて取れない程度」を目安にすると、頭皮への負担を大きく軽減できます。お子さんに「痛くない?」と声をかける習慣をつけるだけでも、牽引のサインを早く見つけられます。

ヘアスタイルのローテーションで毛根への負荷を分散させる

ポニーテールの日、三つ編みの日、ハーフアップの日、髪を下ろす日というように、いくつかのパターンを用意しましょう。週に1〜2日は髪を下ろす「お休みデー」を作るのが理想的です。

1週間のヘアスタイルローテーション例

曜日髪型の例ポイント
月・水ゆるめのポニーテール結ぶ高さを日によって変える
火・木ゆるい三つ編みまたは二つ結びきつく編まず根元にゆとりを持たせる
ハーフアップ上半分だけまとめて下半分は自由に
土・日ダウンスタイル(下ろした状態)頭皮を完全に休ませる日に

ブラッシングや洗髪時の扱い方にも気を配りたい

ブラッシングのときに毛先が絡まっていると、つい力任せにとかしてしまいがちです。必ず毛先のもつれを先にほどいてから、根元に向かってやさしくブラッシングしてください。

洗髪時も同様で、爪を立てず指の腹でやさしく頭皮を洗い、濡れた髪を乱暴にタオルでこすらないことが大切です。濡れた状態の毛髪はとくにダメージを受けやすいため、タオルで押さえるように水分を吸い取りましょう。

お子さんが「痛い」と言ったらすぐに髪をほどいてあげる

髪型を作っている最中や完成後に、お子さんが「痛い」「頭が引っ張られる感じがする」と訴えた場合は、毛根に過剰な力がかかっているサインです。我慢させずに、すぐにほどいてあげてください。

研究でも、ヘアスタイリング中の痛みと牽引性脱毛症の発症には有意な相関関係が示されています。痛みは頭皮からの警告と受け止め、結び直すときはもっとゆるくまとめるよう心がけましょう。

牽引性脱毛症になってしまった子供の治療法と医療機関への相談

もしお子さんに牽引性脱毛症の兆候が見られたら、早めに皮膚科を受診しましょう。初期であれば原因の除去と簡単な治療で改善が期待できます。

初期段階なら原因となる髪型をやめるだけで回復する場合が多い

牽引性脱毛症の治療で最も重要なのは、原因となっている牽引力を取り除くことです。初期の非瘢痕性の段階であれば、きつい髪型をやめて2〜3か月ほど様子を見るだけで、自然に髪が生えそろうケースが多く報告されています。

お子さんの髪型を変えてから数週間経っても変化がない場合でも、焦らずに待ちましょう。毛髪の成長サイクルを考えると、目に見える回復には少なくとも2か月はかかります。

炎症がある場合は外用薬や内服薬で対処する

頭皮に赤みやブツブツなどの炎症が見られる場合、医師の判断でステロイドの外用薬や、炎症を抑えるための内服薬が処方されることがあります。毛包炎が進んでいる場合には、抗菌薬が使われることもあるでしょう。

治療と並行して、原因となった髪型を完全にやめることが回復への近道です。薬だけに頼って髪型を変えなければ、症状は繰り返してしまいます。

まず相談するなら小児皮膚科や毛髪外来が安心

お子さんの脱毛が気になったら、まずは小児皮膚科やこどもの皮膚疾患に詳しい皮膚科を受診することをお勧めします。必要に応じてダーモスコピー(拡大鏡による頭皮の精密検査)で毛根の状態を詳しく調べてもらえます。

大学病院や総合病院には毛髪外来(トリコロジー外来)を設けているところもあり、子供の脱毛に精通した専門医の診察を受けられます。かかりつけの小児科から紹介状を書いてもらうのも一つの方法でしょう。

受診先特徴どんなときに選ぶか
小児皮膚科子供の皮膚疾患全般に対応最初の相談先として安心
毛髪外来脱毛症の専門検査と治療が可能症状が長引く・原因の特定が難しいとき
一般皮膚科幅広い皮膚症状に対応近くに小児皮膚科がないとき

親が知っておくべき牽引性脱毛症を防ぐ正しい子供の髪の扱い方

牽引性脱毛症の予防は、毎日の髪の扱い方を少し変えるだけで実践できます。親御さんが正しいヘアケアの知識を持つことが、お子さんの健やかな髪を守る最善の方法です。

「痛い」「きつい」は危険のサイン|子供の声に耳を傾ける

最も大切なのは、お子さんからの訴えを軽視しないことです。「少し我慢してね」と言いたくなる場面もあるかもしれませんが、痛みを伴う髪型は毛根が悲鳴をあげている証拠にほかなりません。

子供の髪を守るために親が心がけたいこと

心がけ具体的な行動
声かけを習慣にする「痛くない?」「引っ張られてない?」と毎回確認する
ヘアゴムの選び方を見直す布コーティングやスパイラル型を選ぶ
週に数日は髪を下ろす日を作る休息日を設けて毛根を回復させる
頭皮の状態を定期的に観察するお風呂のときに生え際や分け目をチェック

就寝時の髪の扱いにもひと工夫したい

寝るときにきつく結んだまま眠ると、睡眠中も牽引力がかかり続けます。就寝前には必ず髪をほどき、もしどうしてもまとめたい場合はゆるく三つ編みにするか、シルクやサテンのナイトキャップを使いましょう。

枕カバーの素材をシルクやサテンに変えるだけでも、寝返りのときの摩擦が減り、髪と頭皮への負担が軽くなります。小さなことですが、毎日のケアの積み重ねがお子さんの髪を守ることにつながります。

学校や園に相談して髪型のルールを柔軟にしてもらう

学校や幼稚園、保育園によっては「髪が肩にかかったら結ぶ」というルールがある場合もあるかもしれません。牽引性脱毛症のリスクがある場合は、担任の先生や養護教諭に相談し、髪型の制限を緩和してもらえないか掛け合ってみましょう。

医師の診断書があれば、より説得力を持って対応してもらえることが多いようです。お子さんの髪を守るために、遠慮せず周囲に協力を求めることも親として大切な行動です。

  • 毎日の声かけで子供の痛みや違和感を早期に把握する
  • 結ぶ位置・ゴムの種類・スタイルを日替わりで変える
  • 就寝時は髪を下ろすか、ゆるくまとめる程度にとどめる
  • 学校や園と連携し、無理のないヘアスタイルの許可を得る

よくある質問

子供の牽引性脱毛症は何歳くらいから発症する可能性がありますか?

牽引性脱毛症に年齢の下限はなく、乳児期から報告されているケースもあります。文献では生後8か月の乳児での発症例が記録されており、きつい髪型や帽子のゴムなど、髪を引っ張る力が毛根にかかり続ければ年齢を問わず発症する可能性があるといえます。

一般的に多いのは、園や学校に通い始めて毎日髪を結ぶ習慣ができる3〜6歳前後からです。この時期の子供は自分で「痛い」と訴えにくいこともあるため、親御さんが定期的に頭皮の状態を確認してあげることが大切でしょう。

牽引性脱毛症で抜けた子供の髪は元どおりに生えてきますか?

初期段階で気づいて原因となる髪型をやめれば、多くの場合2〜3か月ほどで髪は自然に回復します。毛包がまだ破壊されていない非瘢痕性の段階であれば、元の髪の太さと密度に戻る可能性が高いです。

一方で、長期間にわたってきつい髪型を続けた結果、毛包に瘢痕(傷あと)が形成されてしまうと、その部分からは新しい髪が生えなくなります。だからこそ「おかしいな」と感じた時点で早めに対処することが回復への近道です。

牽引性脱毛症と円形脱毛症を親が見分ける方法はありますか?

脱毛が起きている位置とパターンが見分けるポイントになります。牽引性脱毛症では、髪を結んでいた生え際や分け目のラインに沿って髪が薄くなり、境界付近に細い産毛が残る「フリンジサイン」が見られることが多いです。

円形脱毛症はコインのような丸い脱毛斑が突然現れ、脱毛部分は完全に毛がなくなるのが特徴です。とはいえ、見た目だけでは判断が難しいケースもあるため、気になる場合は自己判断せず皮膚科の専門医に相談してください。

牽引性脱毛症を防ぐために子供に使うヘアゴムはどんなタイプが良いですか?

細い輪ゴムタイプは毛髪に絡みやすく、外すときに髪を引きちぎるリスクがあるため避けてください。お勧めなのは、布でコーティングされた幅広のヘアゴムや、コイル状(スパイラル型)のヘアタイです。

これらは摩擦が少なく、締め付けの力が分散されるため、毛根への負担を軽減できます。ゴムを二重・三重に巻いてきつくするのも避け、1回巻きで髪が落ちない程度のゆるさを意識しましょう。

牽引性脱毛症が心配なとき、子供を何科に連れて行けばよいですか?

まずは小児皮膚科、または子供の診察に慣れている一般皮膚科を受診するのがよいでしょう。ダーモスコピーという拡大鏡を使った頭皮検査で、毛根の状態を詳しく確認してもらえます。

症状が長引いたり原因がはっきりしなかったりする場合は、毛髪外来を設けている大学病院や総合病院を紹介してもらう方法もあります。かかりつけの小児科の先生に相談すれば、適切な専門医への紹介状を書いていただけることが多いです。

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この記事を書いた人

Dr.本田マイケル 武史のアバター Dr.本田マイケル 武史 MYCLI 統括院長 / 医療法人史真会 理事長

がん研有明病院や聖路加国際病院の形成外科にて、長年にわたり顕微鏡を用いた微細な手術(マイクロサージャリー)や組織移植に携わってきました。 自毛植毛において最も重要なのは、採取したドナー(毛根)をいかにダメージなく扱い、高い「生着率」を実現するか、そして自然な流れを再現するかです。私が再建外科の最前線で培ってきた、0.1ミリ単位の緻密な組織操作技術は、まさに自毛植毛のクオリティに直結します。「ただ増やす」だけでなく、形成外科医としての解剖学的知識に基づいた、安全で確実な毛髪再生医療をご提供します。

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