2023.06.09
豊胸後の被膜拘縮になりやすい人は? 4つの予防法、マッサージ方法も詳しく解説!
「豊胸の後の被膜拘縮って何?」
「豊胸の被膜拘縮が心配だけど、どんな人がなりやすいの?」
「豊胸の被膜拘縮の予防方法ってある?マッサージって必要?」
こんな悩みを持った皆様に向けた記事です。
豊胸後の高度な被膜拘縮は代表的な合併症の1つです。豊胸後、被膜拘縮でお胸の形が変わる、もう一度手術が必要になるかもしれない、と聞き豊胸前に不安な気持ちになるかもしれません。
豊胸後の被膜拘縮について正しく理解し、予防に努めることで被膜拘縮が起こる確率を下げることができる可能性があります。
本記事では、豊胸後の被膜拘縮とは何か、豊胸後に被膜拘縮を起こしやすい人の3つの特徴、豊胸後の被膜拘縮を予防する4つの方法、豊胸後の被膜拘縮予防のためのマッサージ方法、そして実際に豊胸後に被膜拘縮を生じた場合の対応方法について解説します。
目次
豊胸後の被膜拘縮とは
高度な被膜拘縮はシリコンバッグ豊胸における代表的な合併症の1つです。
豊胸後の被膜拘縮は、シリコンバック周囲にできた被膜が過剰に硬くなる状態のことです。
シリコンバックは体にとって外からやってきた異物です。体はシリコンバックという異物に対して周囲を取り囲むように被膜を形成します。
被膜拘縮は、シリコンバックという異物に対する過剰な線維化反応によって、被膜が厚く、硬くなることによって生じます。
豊胸後の被膜拘縮によってお胸の形が変わる、お胸の触り心地が硬くなる、場合によってはお胸の痛みといった症状が出現します。
被膜拘縮は4段階(グレード)で病状を評価します。
●Baker分類
Grade1:無症状。お胸の見た目や触り心地に変化はありません。
Grade2:軽度の整容的な変化。お胸の見た目は概ね自然ですが、場所によってはお胸の触り心地が硬くなります。
Grade3:明らかな整容的変化。お胸が硬く触れます。しかし、お胸の痛みはありません。
Grade4:明らかな整容的変化。お胸が硬く触れます。加えて、お胸の痛みが生じます。
Grade3以上の被膜拘縮で治療が必要になることが多いです。
豊胸後の被膜拘縮は、見た目に全く影響がない、もしくはごく軽度の変化であることが多く、Grade3以上は比較的稀です。
豊胸後の被膜拘縮は正しく理解し、早期発見することが大切です。
豊胸後に被膜拘縮を起こしやすい人はどんな人でしょうか。
豊胸後に被膜拘縮を起こしやすい人の特徴について以下で詳しく解説します。
豊胸後に被膜拘縮を起こしやすい人の3つの特徴
豊胸後の被膜拘縮は、基本的にはっきりとした直接的な原因はわかりません。
しかし、豊胸後に被膜拘縮を起こしやすい人の特徴はあります。
豊胸後に被膜拘縮を起こしやすい人の特徴をしっかりと理解することで、特徴に当てはまる方は、より積極的に被膜拘縮予防に努めることができます。
豊胸後に被膜拘縮を起こしやすい人の3つの特徴を解説します。
特長1:ケロイド体質の人
豊胸後に被膜拘縮を起こしやすい人の1つ目の特徴は、ケロイド体質の人です。
なぜなら、ケロイド体質の人は、傷が治る際に過剰な反応を起こしやすいからです。
ケロイド体質という表現をしていますが、怪我や手術の痕に厚い瘢痕組織が出来る人、もしくは家族に同様の人がいる場合は豊胸後に被膜拘縮を起こしやすい可能性があります。
ケロイド体質の方は被膜拘縮を起こしやすく注意が必要です。
当院ではケロイド体質の人は希望に応じてケロイド予防の薬を内服頂くことができます。
出典:AMERICAN SOCIETY OF PLASTIC SURGEONS
特長2:感染を起こした人
豊胸後に被膜拘縮を起こしやすい人の2つ目の特徴は、感染を起こした人です。
なぜなら、シリコンバック周囲の感染に対して体が反応することでより厚い被膜形成に繋がるからです。
豊胸後の被膜拘縮は、お胸が痛くなったり赤くなったりする感染だけではなく、明らかな症状のないシリコンバック周囲の小さな感染が原因になることがあります。
シリコンバック周囲の小さな感染はシリコンバック周囲に細菌によるより厚い膜を形成し、場合によって被膜拘縮を引き起こします。
感染による被膜拘縮を防ぐには、施術者の技量や経験が重要です。
出典:AMERICAN SOCIETY OF PLASTIC SURGEONS
特長3:術後に出血した人
豊胸後に被膜拘縮を起こしやすい人の3つ目の特徴は、術後に出血した人です。
なぜなら、血液は栄養豊富であり、出血や血種形成は細菌の温床になる場合があるからです。
出血によって生じた感染はシリコンバッグ周囲により厚い膜を形成し被膜拘縮を引き起こす可能性があります。
出血を防ぐためには施術者の技量や経験が重要です。
出典:AMERICAN SOCIETY OF PLASTIC SURGEONS
豊胸後の被膜拘縮を予防する4つの方法
豊胸後に被膜拘縮を起こしやすい人の3つの特徴を紹介しました。
豊胸後の被膜拘縮は原因がなく、ランダムで起こる可能性があり、完全に予防するのは難しいです。
しかし、豊胸後の被膜拘縮を最大限予防することはできます。
豊胸後の被膜拘縮を予防する具体的な4つの方法を解説します。
予防法1:経験豊富な施設で施術する
豊胸後の被膜拘縮を予防する1つ目の方法は、経験豊富な施設で施術することです。
なぜなら、感染や出血といった被膜拘縮の原因は施術者の技術に少なからず左右されるからです。
施術技術、そしてアフターフォローがしっかりしている経験豊富な施設で施術を受けるようにしましょう。
当院は2022年度、390件の豊胸手術、シリコンバッグを用いた豊胸手術を236件行っています。
さらに、全ての患者様でシリコンバッグの破損や汚染を最大限防ぐためケラーファンネルという専用の機器を用いてシリコンバッグ挿入を行っています。
ケラーファンネルを用いることで被膜拘縮率の低下効果があることが報告されています。
経験豊富な施設で施術を受けることは豊胸後の被膜拘縮予防に繋がる可能性があります。
出典:Morkuzu et al, Plast Reconstr Surg Glob Open. 2022
予防法2:施術前後の注意をしっかり守る
豊胸後の被膜拘縮を予防する2つ目の方法は、施術前後の注意をしっかり守ることです。
なぜなら、施術前後の注意を守らないことは被膜拘縮の原因である出血や感染の原因になる可能性があるからです。
施術前後の注意は、施術前後に指示された薬剤を休薬する、禁煙する、施術後の抗菌薬を内服する、施術後の入浴時期を守る、などが該当します。
施術前後の注意をしっかり守ることは豊胸後の被膜拘縮予防に繋がります。
予防法3:リザベンの内服
豊胸後の被膜拘縮を予防する3つ目の方法は、リザベンの内服です。
なぜなら、リザベンというお薬はケロイド、瘢痕形成の予防効果を持つ可能性があるからです。
リザベンは線維芽細胞の増殖を抑制する効果が報告されています。線維芽細胞の増殖を抑制することは、豊胸後にシリコンバック周囲における厚い被膜形成の予防に繋がる可能性があります。
シリコンバック周囲の過剰な被膜形成を抑制することで、被膜拘縮の可能性を下げる可能性があります。
当院は希望者にはリザベンを内服して頂いています(別途料金)。被膜拘縮を起こしやすい人の特徴に当てはまる人などはリザベンの内服を検討してみましょう。ただし、このお薬は腎機能障害(血尿、頻尿などの症状)が起こる可能性があるために注意が必要です。
出典:Headon et al, Arch Plast Surg 2015
予防法4:マッサージ
豊胸後の被膜拘縮を予防する4つ目の方法は、マッサージです。
なぜなら、施術後のマッサージはシリコンバッグ周囲の乳腺組織を柔軟に保ち、被膜拘縮の予防に繋がる可能性があるからです。
被膜拘縮予防のマッサージは強すぎると組織の回復を妨げる原因になる可能性があります。
また、施設によってはマッサージを推奨していない施設があります。必ず施設に確認を取り、マッサージ方法を聞いた上で行うようにしましょう。
当院では豊胸後のマッサージを推奨しています。なぜなら、患者様が被膜拘縮を起こす可能性を少しでも下げたいからです。
被膜拘縮予防のマッサージについて、やり方を以下で詳しく解説します。
豊胸後、被膜拘縮予防のマッサージのやり方
シリコンバック豊胸後のマッサージは被膜拘縮を起こりにくくする、シリコンバック周囲の組織を柔軟に保つといった効果が期待できます。
しかし、正しくマッサージをしなければ痛みなどの原因になる可能性があります。
被膜拘縮予防のマッサージ方法は以下の通りです。
・垂直にシリコンバッグをゆっくり押さえるようにマッサージする。
・シリコンバッグがお胸全体に広がるように押してマッサージする。
当院では特に施術後1ヶ月間、可能であれば1ヶ月を超えての被膜拘縮予防マッサージを推奨しています。
シリコンバック豊胸後はマッサージを行い、できる限り被膜拘縮が起こる可能性を下げましょう。
豊胸後に被膜拘縮が起きた際の対応方法
被膜拘縮とは何か、豊胸後に被膜拘縮を起こしやすい人の特長、被膜拘縮の具体的な予防方法について解説しました。
どれだけ予防をしても被膜拘縮が起こってしまうことはあります。
実際に被膜拘縮が起きた場合にはどのような対応が必要なのでしょうか。
被膜拘縮の治療は修正手術です。
修正手術では、シリコンバックを取り出し、過剰に肥厚した被膜を切開、または除去した後、再度シリコンバックを挿入します。
Grade3以上の被膜拘縮が主に修正手術の対象になります。
シリコンバック豊胸後の被膜拘縮は、全く見た目に影響がない、もしくはごく軽度の変化に留まり、治療が必要ないことがほとんどです。
当院は施術後、変化にすぐ気が付くことができるよう、アフターフォローに力をいれています。
そして、仮に修正手術が必要な場合は、当院で責任を持って対応することが可能です。
シリコンバック豊胸後の被膜拘縮が心配な方も安心して、遠慮なくご相談下さい。
出典:Zingaretti et al, Aesthetic Plast Surg, 2021
【まとめ】豊胸後の被膜拘縮や予防のマッサージについて正しく理解しましょう
本記事では、豊胸後の被膜拘縮とは何か、豊胸後に被膜拘縮を起こしやすい人の3つの特徴、豊胸後の被膜拘縮を予防する4つの方法、被膜拘縮予防のためのマッサージ方法、そして被膜拘縮が起きた場合の対応について解説しました。
豊胸後の被膜拘縮について正しく理解し、出来る限りの予防に努めましょう。
当院は施術前のカウンセリング、そして施術後のアフターフォローも充実しており、安心して施術に臨むことが出来ます。
豊胸を検討している方は安心してご相談下さい。
監修者
- 日本形成外科学会
- 日本乳房オンコプラスティックサージェリー学会所属
本田マイケル武史(本田武史)
乳がん術後の乳房再建を年間100件以上執刀してきた形成外科医。 その傍ら美容外科医として幅広い技術を習得し専門医取得要件を満たしたことを機に美容1本に絞る。自然な仕上がりでより満足度の高い施術を極めるため理論・技術を徹底的に学び沢山のゲストの要望に応え、より一人一人に寄り添った施術を行いたいという気持ちからMYCLIを開院。 開院後1年で豊胸術件数において個人院国内トップクラスに。 技術だけではなく、カウンセリングからアフターケアまでゲストに寄り添う姿勢が評判をよび数カ月先まで予約殺到。信頼できる上、気さくで物腰柔らかい人柄によりリピーターのゲストも後を絶たない。