2024.04.12
豊胸で悪性リンパ腫になる?BIA-ALCLの症状、治療、避けるべきリスクを確認
「豊胸で悪性リンパ腫になることがあるって本当・・・?」
「豊胸でリンパ腫になりやすいシリコンバックがあるの・・・?」
こんな不安を持つ皆様に向けた記事です。
豊胸したことが原因で悪性リンパ腫になる可能性があると聞き、不安に思うかもしれません。
シリコンバック豊胸によって生じる可能性がある悪性リンパ腫は乳房インプラント関連未分化大細胞型リンパ腫(BIA-ALCL)と呼ばれます。
本記事では、豊胸で発生する悪性リンパ腫(BIA-ALCL)とは何か、そして避けるべきBIA-ALCL発症のリスクについて解説します。
目次
豊胸で発生する悪性リンパ腫(BIA ALCL)とは
BIA-ALCLは乳房再建術や豊胸術でシリコンバックを挿入した方においてシリコンバック周囲に発生するリンパ腫です。
2009年、日本においてはじめてのBIA-ALCLの発生が報告されました。2022年2月には国内で4例のBIA-ALCLが発生したことが日本形成外科学会より報告されています。
発生頻度は決して高くない
BIA-ALCLの発生頻度は報告により様々ですが、テクスチャードタイプと呼ばれる表面がザラザラしたタイプのシリコンバックを挿入した方の1/30,000程度と概算されています。
人種、シリコンバックの種類などによって発生頻度が異なることが示唆され、正確な発生頻度ははっきりとしていません。
日本における報告例は2022年2月時点で4例であり、国際的に見ても頻度は決して高くありません。
症状としてしこり、お胸の変形などがある
BIA-ALCLの症状として、乳房再建・豊胸をしたお胸にしこりが触れる、お胸が変形して左右差を生じる、お胸が増大する、お胸の痛みといった症状を呈する可能性があります。
また、特に自覚症状はなく、乳房再建・豊胸後の定期的なフォローアップでシリコンバック周囲の液だまりなどが見つかり診断に至るケースもあります。
治療は外科治療がメインになる
BIA-ALCLの治療は外科治療がメインになります。
外科治療では、挿入しているシリコンバック抜去、そしてシリコンバック周囲に形成された被膜を切除します。
切除した被膜内に腫瘍がとどまっている場合、治療は外科治療のみです。
一方、腫瘍が被膜を超えている場合、リンパ節転移を有する場合は化学療法、分子標的薬、放射線治療などが必要になる可能性があります。
【避けるべき】豊胸による悪性リンパ腫(BIA ALCL)発生の2つのリスク
豊胸手術を検討している方は、豊胸術における悪性リンパ腫(BIA-ALCL)の発生リスクを把握し、可能な限り避けるように心がけましょう。
豊胸術における悪性リンパ腫(BIA-ALCL)の発生リスクは以下の2つです。
- シリコンバックの種類
- シリコンバックを挿入している期間
それぞれ以下で深掘りします。
テクスチャードタイプのシリコンバックを使用している
シリコンバックは表面の質の違いによって大きく以下の2種類があります。
- テクスチャードタイプ:表面がザラザラしている
- スムースタイプ:表面がツルツルしている
シリコンバックの表面がザラザラしたテクスチャードタイプのシリコンバックを挿入することは豊胸後の悪性リンパ腫(BIA-ALCL)のリスクになります。
BIA-ALCLの大部分がテクスチャードタイプのシリコンバックを挿入した方において発生していることが報告されています。
一方、スムースタイプのシリコンバックのみを使用した方においてはBIA-ALCLの発生がほとんど報告されていません。
アメリカのFood and Drug Administration(FAD)は、日本で乳房再建術においてこれまで広く用いられていたテクスチャードタイプのシリコンバックを使用することがBIA-ALCLの発生リスクを約6倍に増加させる可能性があると報告しています。
テクスチャードタイプのシリコンバックによる豊胸は悪性リンパ腫(BIA-ALCL)のリスクであり、これからシリコンバック豊胸を検討している方は避けるようにしましょう。
また、既にテクスチャードタイプのシリコンバックを挿入している方は入れ替えの検討なども含め医師に相談することもおすすめです。
当院の豊胸はモティバ社のエルゴノミクス2というナノテクスチャードタイプのシリコンバックを主に使用しています。
ナノテクスチャードタイプはテクスチャードタイプとは全く異なります。ナノテクスチャードタイプのシリコンバックは悪性リンパ腫(BIA-ALCL)の明らかなリスクになるという報告はありません。
シリコンバックを挿入している期間が長い
シリコンバックを挿入している期間が長いことは豊胸後の悪性リンパ腫(BIA-ALCL)のリスクになる可能性があります。
これまで報告されたBIA-ALCL発症者の多くがシリコンバックを挿入してから9年以上経過していることが分かっています。
シリコンバックを挿入してから経過が長い方は、特に注意して定期チェックを受診しましょう。シリコンバックの入れ替えも検討する価値があるでしょう。
出典:U.S. Food and Drug Administration
【まとめ】豊胸後の悪性リンパ腫についてしっかり理解しましょう
本記事では、豊胸後の悪性リンパ腫(BIA-ALCL)とは何か、そして発症の2つのリスクを解説しました。
シリコンバック豊胸後の悪性リンパ腫(BIA-ALCL)の頻度は決して高くありません。
豊胸で使用するシリコンバック選定に注意し、定期フォローアップをしっかり受診することが大切です。
当院は豊胸用にナノテクスチャードタイプのシリコンバッグを使用しています。豊胸に使用するシリコンバックは事前カウンセリングでしっかりと相談することが可能です。
豊胸を検討している方は安心してご相談下さい。
監修者
- 日本形成外科学会
- 日本乳房オンコプラスティックサージェリー学会所属
本田マイケル武史(本田武史)
乳がん術後の乳房再建を年間100件以上執刀してきた形成外科医。 その傍ら美容外科医として幅広い技術を習得し専門医取得要件を満たしたことを機に美容1本に絞る。自然な仕上がりでより満足度の高い施術を極めるため理論・技術を徹底的に学び沢山のゲストの要望に応え、より一人一人に寄り添った施術を行いたいという気持ちからMYCLIを開院。 開院後1年で豊胸術件数において個人院国内トップクラスに。 技術だけではなく、カウンセリングからアフターケアまでゲストに寄り添う姿勢が評判をよび数カ月先まで予約殺到。信頼できる上、気さくで物腰柔らかい人柄によりリピーターのゲストも後を絶たない。